2013 Fiscal Year Annual Research Report
嫌気性菌の遺伝子工学を応用した水素ガス生産技術の開発
Project/Area Number |
23510095
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
木村 哲哉 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (00281080)
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Keywords | 嫌気性細菌 / クロストリジウム / バイオマス / 水素ガス |
Research Abstract |
嫌気性細菌Clostridium属は、未利用バイオマスである植物繊維や海洋性のキチンなどを分解する菌が多数報告され、未利用バイオマスの応用に関して応用が期待されている。本研究ではキャンパスの海浜土壌より単離したキチンを分解するClostridium paraputrificum M21を対象として、その増殖速度の速さと水素ガス生産性の高さをさらに改良することをめざした。本年度は(1)植物繊維を分解するためのセルラーゼやキシラナーゼ遺伝子を導入した株の解析、(2)培地への鉄添加による水素ガス生産増加の条件検討と鉄添加による水素ガス生産に関する遺伝子の発現解析を行った。(1)C. thermocellumのキシラナーゼ11A遺伝子とC. josui,のセルラーゼ8A遺伝子をC. paraputrificumへ導入発現させて、その組換え酵素について解析した。組換え酵素の基質分解性を調べた結果、キシロオリゴ糖やセロオリゴ糖の分解は大腸菌で生産された組換え酵素とほぼ同じであった。(2)培地に鉄を添加することで水素ガスの生産量は約2倍に増加したことはすでに報告したが、この条件に加えて、pHの制御や乳酸などの添加を行ったが、水素ガスの生産には大きな影響はなかった。一方、酢酸や酪酸を加えると菌の増殖が抑えられ、ガスの生産も抑制された。ゲノム配列から推定された代謝関連遺伝子についてリアルタイムPCR法で発現を調べたところ、鉄を添加しても乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、ヒドロゲナーゼ、酢酸キナーゼ、酪酸キナーゼなどの遺伝子発現量には大きな変動はなかったことから、鉄添加による水素ガス生産の増加は遺伝子の発現量変化ではなく、酵素活性などに影響を及ぼしていることが示唆された。
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