2012 Fiscal Year Research-status Report
環境対応型無鉛電線フューズ開発のための熱・電気特性制御と組成・形状の最適化
Project/Area Number |
23510096
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松木 一弘 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30253115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 元 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30192595)
崔 龍範 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00457269)
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Keywords | 環境対応型フューズ合金 / 無鉛代替材料 / 電位・熱シュミレーション / 電気・熱特性 / 低圧配電線 / 酸化物分散複合材料 |
Research Abstract |
64A用3.2mm直径の銅導線使用した低圧配線におけるフューズエレメントとして、溶断(99A)・通電(210A)特性を満足するため、固液共存領域の有るSn-50Znを取り上げ無鉛化を図った。本合金に酸化物を8vol%添加し熱・電気特性制御を行った。合金と酸化物は密度と融点に大差が有り酸化物均一分布を得る事が難しく、安定したフューズ性能を発揮できない。複合材料作製時、固液共存下で温度と撹拌時間の最適化を図り初晶内と初晶粒相互間に酸化物を均一に存在させた。 300~460Kで温度上昇と共に比抵抗は上昇した。均一、不均一存在Al2O3型、Al2O3無添加合金の順で比抵抗値が上昇した。熱伝導率は、同温度では温度上昇とともに低下した。均一、不均一存在Al2O3型、さらにAl2O3無添加合金の順で熱伝導率が低下した。Al2O3添加量が同一でも、その存在位置を制御することにより電気・熱伝導率の調整ができた。 温度上昇と共に比熱は上昇した。Al2O3無添加よりも添加合金の比熱は増加した。温度上昇と共に密度は低下しAl2O3無添加よりも添加合金の密度は低下した。これらはAl2O3添加量のみに依存して決定された。 自作三次元電気・熱連成計算に基づきシミュレーションを行った。Al2O3無添加合金は溶断性能条件下で温度上昇が飽和し、溶断性能は悪いものであった。しかし不均一存在Al2O3型合金は525sで溶断し、かろうじて所定時間(600s)を満たしたが、3s以上の通電性能は満足できた。また、均一存在Al2O3型合金は275sの溶断時間が示され、250sもの溶断時間短縮化が発揮でき、Sn-39Pbの性能に比肩した。また3s間の通電性能も達成され、両性能が満足された。同一組成の金属基複合材料でさえ、作製プロセス最適化し酸化物の存在状態を制御したことで、熱・電気特性を大幅に向上させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属基複合材料の作製プロセス最適化手法に関し、従来からの系統的な実験結果が蓄積しており、本研究で酸化物の均一分布に適応できた為である。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した平成25年度の実施項目が遂行できる環境が整った。 ただし、フューズ合金と銅導線の安定接合を実現する為に以下の問題がある。3次元的に熱・電気の不均一分布が生じる下での放電焼結機を用いた接合を実施している。しかも、銅とフューズ合金の融点、電気・熱特性は大きく異なる。そこで、直径5mm全面を、同サイズの熱影響部を達成し、均一に接合するのが極めて困難である。したがって、安定接合達成に多大の時間を費やす事が予期される。そこで、高電流下での性能試験を必要最小限に止めることが提案される。また、本性能試験とシミュレーションの整合性を高精度で図っているので、銅導線/フューズエレメント接合体を作製して電気抵抗を測定し、本値を初期条件としたシミュレーションによる評価を行うことも予期される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
交付申請書に記載した平成25年度の研究費計画通りである。
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