2012 Fiscal Year Research-status Report
不均一架橋構造を有する親水性イオン交換膜を用いた逆電気透析発電システムの開発
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23510097
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
遠藤 宣隆 山口大学, 理工学研究科, 助教 (40314819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比嘉 充 山口大学, 理工学研究科, 教授 (30241251)
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Keywords | 逆電気透析 / 海水濃度差発電 / 親水性イオン交換膜 / 不均一架橋構造 |
Research Abstract |
REDテストセルにおいて、セル内部の濃度分極により実効塩濃度が低下するため、セル出力が低下する。これはセル内部におけるイオンの膜透過流束と、塩水および淡水の滞留時間により濃度低下が決定される。そのためセル内部の供給口からのスタック内部における溶液流路の形状がその膜外濃度分極の大小に大きく影響する。そこで種々の膜面積および流路構造を持つREDテストセルを作製し、その出力測定の結果とシミュレーション評価の結果を比較検討した。 REDセルの出力密度は、電極における反応抵抗とスタック内の膜抵抗および流路抵抗により低下するが、スタック数の増大により電極反応抵抗の寄与は小さくなり、100スタック以上においてその出力密度はほぼ一定となることが示された。 膜間距離を狭めることで1スタックあたりの溶液抵抗の低下によりセル出力は増大することが見込まれた。しかし膜間距離1.0mmおよび0.5mmにおける結果を比較すると、セル出力は同程度の値を示し、出力の増大は見られなかった。シミュレーションの結果と比較すると、0.5mmでは70%、1.0mmでは90%の出力が得られた。この時、セル電圧は膜間距離により大きな影響を受けなかったため、電流値の低下が原因と考えられ、膜外濃度分極の影響が1.0mmの方が小さいことを示唆している。これは流路における溶液の通液幅とスペーサーの厚みおよび形状の違いにより流路内における水の流れが異なり、濃度分極の影響に差が生じたと考えられる。 また、親水性で不均一架橋構造を形成させたPVA系イオン交換膜を用いたREDテストセルでは、市販のイオン交換膜(AMX,CMX)と比較して約90%の出力が得られた。これによりPVA系イオン交換膜が現行の市販膜とほぼ同等の性能を発揮できることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シミュレーション評価の手法の確立、テストセルの作製とその評価は順調に推移しており、現行のテストセルにおける性能低下要因について種々の検討を進めている。また、運転条件の変化とセルスタック内部の溶液の流通条件の変化を考慮してデータ測定を行うことで、セルスタック内部における膜外濃度分極等の影響評価を進めており、改良版テストセルの製作のための基礎データを収集中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、現行のテストセル内部における溶液の流通条件や膜外濃度分極について評価を進めており、これに基づき改良型テストセルの設計を進めている。今後は改良型テストセルを作製し、改良法の評価およびテストセル内部の条件探索を進め、REDテストシステムの構築およびトータルシステムを構築して性能評価を行うことで、実用化の可能性について評価検討する。。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在、本年度作成したセルにおいて検討を進めており、十分な評価試験結果を取得後、新たに改良セルの設計および作成を行うこととした。そのため、セルの設計および作成の費用を次年度に繰り越すこととした。 次年度使用額は改良型テストセルの作製費として使用し、改良型テストセルの結果およびシミュレーション評価結果を比較検討することで、次年度のトータルシステムの設計およびシミュレーション評価を行うための基礎データ収集を行う。
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Research Products
(6 results)