2011 Fiscal Year Research-status Report
超多孔質磁性クライオゲルを用いた地下水砒素汚染への応用
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23510100
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
大榮 薫 宮崎大学, 工学部, 助教 (00315350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 由成 宮崎大学, 工学部, 教授 (20039291)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 砒素除去 / クライオゲル / ナノ粒子 / マグネタイト / 砒酸イオン / 亜砒酸イオン / 超多孔体 / 磁性体 |
Research Abstract |
本研究では毒性の高い無機砒素をターゲットとして水圏中特に地下水中から高速かつ高効率に除去できる高性能な砒素除去材の開発を行うことを目的としている。今年度はモノリス型ポリアクリルアミドクライオゲルの合成を行った。モノマーのアクリルアミド水溶液に架橋剤としてN, N’-メチレンビス(アクリルアミド)を加えた反応溶液を円筒状容器に加え氷浴下で合成した。水洗後、凍結乾燥してポリアクリルアミドクライオゲル(AAゲル)を得た。得られたAAゲルをSEM観察および水銀圧入法により物性を評価した。得られたAAゲルは5-150μmのマクロ孔を持つ網目構造を示し、その平均細孔径は30μmであった。0.8m2/gの比表面積であることがわかった。氷点下温度で合成を行うことにより、溶媒である水が氷となるため、その周りでゲル化が起こったと考えられる。これを母材として、マグネタイトナノ粒子の分散化を行った。(Fe(II)+Fe(III))のエタノール溶液に含浸してエタノールを蒸発留去し、アルカリ溶液中に加えて振とう後、水洗し凍結乾燥した(MAGAA1)。SEM/EDXにより、得られたMAGAA1の細孔壁はマグネタイトでコーティングされていることが確認された。また母材であるAAゲルの細孔径が一部崩壊していることが確認された。金属イオン濃度を低くすると細孔の崩壊は抑制された。次にAAゲルの反応溶液中にマグネタイトナノ粒子を超音波を用いて分散させて、マグネタイト含有クライオゲルを合成した(MAGAA2)。反応初期段階で高い分散性を保っていたが、得られたMAGAA2は低い分散性を示した。反応中における超音波の照射あるいはマグネタイトナノ粒子を界面活性剤で被覆することにより分散性の低下を抑制できた。得られたモノリス型磁性クライオゲルは比表面積は低いがマクロ孔を多く有し、高い空隙率をもつ超多孔体であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画で以下のことが達成できた。ポリアクリルアミドクライオゲルは、氷点下で合成を行うことにより、マクロ孔を有するクライオゲルが得られた。これは反応溶液の溶媒である水が氷となり、その周囲でゲル化が進行ためであると考えられる。このゲルを母材として、マグネタイトナノ粒子でコーティングされた磁性クライオゲルを合成することができた。また、ゲル調製中にマグネタイトナノ粒子を超音波照射や界面活性剤を用いることでゲル内にナノ粒子を分散させることができた。比表面積は低いがマクロ孔を多く有し、高い空隙率をもつモノリス型超多孔性クライオゲルを生成することができた。しかしながら、当初の計画に挙げていた得られた磁性クライオゲルを用いた砒素吸着平衡試験を次年度行い、砒素除去に適した合成条件を検討することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
合成したモノリス型磁性クライオゲルを用いて砒素吸着試験を行い、砒素除去に適した合成条件を検討する。さらに超多孔性ビーズの合成をエマルション法および滴下法を用いて、形状加工されたクライオゲルの物性を評価する。得られたクライオゲルを用いて砒素吸着平衡および速度試験を行い、クライオゲルの形状による影響を調べ、最適化を行う。砒素の脱離剤の検討およびカラム試験を行い、砒素除去フィルターの開発のための基礎的データを得る。最終年度は実用化を目指して、砒素吸着に及ぼすpH,共存イオン、塩濃度、吸着温度の影響を検討し、また、クライオゲルの細孔構造との関連性およびその吸着機構を明らかにする。そして、宮崎大学が砒素対策を行っている地区の地下水砒素汚染水の模擬水を使って実験室レベルでの性能評価を行い、最適条件を決定する。これまで得られた結果を踏まえて現地での実証試験を行う。得られた結果より吸着材の長所短所を詳細に解析し、さらに吸着材の最適化(粒子サイズ、形状効果、細孔構造など)を行う。得られた結果について随時まとめてその成果を国内外の学会および学術論文雑誌等で発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
クライオゲルの形状加工を行うため、それに伴う温度を一定に保てるガラス反応装置を購入する。砒素の吸着実験に伴う種々の試薬を購入する。また、磁性クライオゲルの物性評価(TEM, XRDなど)および砒素吸着機構を解明(XPS, FT-IR、ICPなど)するために本学の分析機器あるいは外部へ依頼分析を行う。得られた結果について随時まとめてその成果を国内外の学会および学術論文雑誌等で発表を行う予定である。
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Research Products
(2 results)