2012 Fiscal Year Research-status Report
超多孔質磁性クライオゲルを用いた地下水砒素汚染への応用
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23510100
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
大榮 薫 宮崎大学, 工学部, 助教 (00315350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 由成 宮崎大学, 工学部, 教授 (20039291)
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Keywords | 砒素除去 / クライオゲル / ナノ粒子 / 砒酸イオン / 亜砒酸イオン / 超多孔体 / 磁性体 |
Research Abstract |
ポリアクリルアミドクライオゲル(PAAm)を支持体としたモノリス型および球状クライオゲルを種々の条件で合成し、物性評価を行った。モノリス型PAAmの細孔は合成温度に依存することが示され、温度の低下に伴って細孔径が減少することがわかった。モノマー濃度が増加すると膨潤率および膜厚は増加したが細孔径は減少することが示された。迅速なカラム吸着を行うためには低い膨潤率で、細孔分布がマクロ孔で占められているものが適していると考えられるため、合成条件をモノマー濃度10%, 合成温度を-12℃とした。 次に磁性体の分散性を高めるために非イオン性界面活性剤共存下で合成を行った。界面活性剤なしの条件よりも小さな粒子が生成し6-10 nmの結晶性のナノ粒子(MAGT)が得られた。MAGTを用いて砒素吸着実験を行ったところ、その吸着量はMAGの約70%であった。これはMAGTの比表面積がMAGの1/3であり吸着サイトが減少したことに起因すると考えられる。MAGおよびMAGTを用いて得られた磁性PAAmはほぼ同等の物性を示した。 高い砒素吸着量を示したMAGを分散担持したPAAm(MCG)を用いてAs(III)吸着の平衡到達時間を測定した。MAG/MCG=0.9(g/g)の時、MCGによる平衡到達時間はMAGとほぼ一致し、6時間で平衡に達した。カラム実験では空間速度SV=2.2 h-1ではすぐに破過したが、SV=0.52 h-1ではバッチ法で求めた飽和吸着量とほぼ、同等のAs(III)を吸着することができた。次に脱着剤に水酸化ナトリウム水溶液を用いて脱着実験を行ったところ、1M水酸化ナトリウム水溶液を用いるとAs(III)は約50倍に濃縮され、カラムに吸着されたAs(III)の約60%が脱着された。したがって、本研究で得られた磁性クライオゲルはAs(III)の吸着除去に有効であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では毒性の高い無機砒素をターゲットとして地下水あるいは河川水から高速かつ高効率に除去できる高性能な砒素除去材の開発を行うことを目的としている。今年度の目的は砒素除去に適したクライオゲルを合成して砒素除去フィルターを開発するための基礎的データを収集することである。昨年度に引き続きモノリス型クライオゲル(PAAm)および砒素の吸着材となる磁性体を分散担持された磁性クライオゲルの合成を行い、砒素の吸着特性を評価した。目的に合致した砒素除去フィルターを開発するために細孔径と膨潤率に着目して支持体であるPAAmの最適な合成条件を見出し、再現性を確かめた。マグネタイトを分散担持して得られた磁性PAAmはバッチ法において速い吸着速度が示された。カラム法においては担持したマグネタイトの飽和吸着量とほぼ同量の砒素を吸着でき、1M水酸化ナトリウム水溶液を用いて脱着も可能であることが示された。本研究で合成した磁性クライオゲルはAs(III)に対して優れた吸着特性をもつことが示された。エマルション法によりPAAmの球状微粒子の合成に成功したが、マグネタイトの密度が大きく分散担持することができなかった。そこで、アルギン酸ナトリウムを用いたところ磁性球状微粒子が得られたことから、粘度の高い高分子溶液を用いて容易に球状クライオゲルを調製できることが示唆された。球状クライオゲルを用いた砒素除去については今後検討する予定である。これまでに本研究で得られた成果について学会で発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的の一つとして砒素除去の高速化を挙げており、バッチ実験においてはほぼ達成できているが、カラム法では空間速度が小さく達成できていない。これはバッチ法とカラム法で適した細孔径や細孔構造が異なることが示唆される。そこで次年度はカラム法による高速化を目的に磁性クライオゲルの合成条件を検討する。カラム法による砒素除去に適した砒素濃度、pHを探し、共存イオンの影響など実証試験に向けての基礎的データを収集する。そして、吸着材の細孔径や細孔構造が砒素の吸着にどのように影響するかを調べて吸着材の最適化を図る。球状磁性クライオゲルも合成し、砒素吸着特性を評価しながら、吸着材の最適化を行う。次年度は最終年度でもあるため、バングラデシュあるいはインドの砒素汚染地域の地下水砒素汚染水の模擬水を使って実験室レベルでの性能評価を行い、さらに吸着材の最適化を行う。得られた成果について随時まとめて発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
クライオゲルを砒素除去システムに適した形状加工を行うため、ガラス器具やシリンジポンプなどの反応装置を購入する。砒素除去性能をさらに高めるため磁性ナノ粒子の合成試薬、器具類および物性を評価する分析機器の部品(IR用セル、ゼータ電位用セルなど)を購入する。クライオゲルの合成に用いる試薬およびガラス器具、砒素吸着実験に用いる試薬および測定用ガスが必要である。そして、得られた成果を公表するための費用(学会発表および論文投稿など)に使用する。
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Research Products
(5 results)