2013 Fiscal Year Annual Research Report
好酸性細菌群による酸化鉄ナノ構造体形成を利用したレアメタル回収技術の開発
Project/Area Number |
23510104
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
宮田 直幸 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (20285191)
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Keywords | 鉄酸化細菌 / レアメタル / 酸化鉄 / 資源回収 |
Research Abstract |
前年度までに、新規の好酸性鉄酸化細菌GJ-E10株を単離して増殖特性を明らかにするとともに、培養条件を変えることにより、異なる構造特性をもつ酸化鉄ナノ構造体(シュベルトマナイト及びゲーサイト)を形成することができた。本研究により、好酸性鉄酸化細菌を用いてゲーサイトを主成分とする酸化鉄を生成できることがはじめて明らかにされた。 本年度は、これらの酸化鉄の構造特性を透過型電子顕微鏡観察により特徴付けるとともに、種々のレアメタル(金属オキシ陰イオン)の吸着特性を詳しく調査し、レアメタル回収への適用性を評価することとした。GJ-E10株の培養液(25度、pH 3.0)で生成したシュベルトマナイトは針状(幅:4 nm程度)であり、化学合成品の構造とよく一致していた。一方で、37℃、pH 3.8の培養条件で生成したゲーサイトは、不定形のナノ粒子が凝集して二次粒子(粒子径:数十nm)形成しており、一般的な化学合成品と比較して結晶性が低いことが示された。これらの酸化鉄を用いて、セレン酸(Se)、モリブデン酸(Mo)、クロム酸(Cr)、亜ヒ酸(As(III))、ヒ酸(As(V))の吸着に及ぼすpHの影響(10 mM 硫酸ナトリウム存在下)を調査した結果、両酸化鉄ともpH 3~5の範囲でSe、Mo、As(V)の吸着量はほぼ一定であった。またCrとAs(III)ではpH 5のとき吸着量は最も大きくなった。シュベルトマナイトとゲーサイトでは結晶構造は大きく異なるが、オキシ陰イオンに対する吸着特性は類似していた。前年度の吸着容量の結果と併せると、本研究で微生物生成した酸化鉄は、弱酸性から中性付近の溶液から効率よくオキシ陰イオン種のレアメタルを吸着回収可能であることが明らかになった。
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