2013 Fiscal Year Annual Research Report
バイオディーゼル燃料における化学的・物理的過程を考慮した分子構造・組成解析
Project/Area Number |
23510107
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
桑原 一成 大阪工業大学, 工学部, 教授 (00454554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益山 新樹 大阪工業大学, 工学部, 教授 (30157218)
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Keywords | バイオディーゼル燃料 / 着火性 / ディーゼルエンジン / 噴霧燃焼 / 化学反応動力学 / 環境負荷低減 |
Research Abstract |
バイオディーゼル燃料は飽和・不飽和脂肪酸メチルエステルの混合物である.詳細化学反応モデルを用いて気相燃料の着火性を評価した結果によれば,飽和脂肪酸メチルエステル類の着火性は,特にディーゼルエンジン内の着火温度に該当する1000 K程度の温度域でアルカン類の着火性よりも優れている.これは,燃料分子内にカルボニル基が存在すると隣接するC原子のC-H結合エネルギーが弱くなり,反応性が向上することに起因する.一方,ディーゼルエンジンを用いてアルカン類および飽和脂肪酸メチルエステル類について燃料噴霧の着火性を評価した結果によれば,燃料の種類は熱発生開始時期にはほとんど影響をおよぼさないが,熱発生開始後の熱発生プロフィールには大きな影響をおよぼす.すなわち,アルカン類,メチルエステル類のそれぞれについて見ると分子構造が長くなるほど熱発生速度は大きくなるが,アルキル基の長さが同一であればメチルエステル類の熱発生速度はアルカン類の熱発生速度よりも大幅に小さい.アルカン類,メチルエステル類のそれぞれについては分子構造が長くなるほど気相燃料の着火性は向上する一方,液相燃料の微粒化・蒸発特性は低下する.すなわち,同一の反応基を有する燃料群については燃料噴霧の燃焼特性はおおむね気相燃料の着火性によって支配されているが,異なる反応基を有する場合には液相燃料の物理的性状が燃料噴霧の燃焼特性に大きな影響をおよぼすことを考慮する必要がある.本質的に気相燃料の着火性に優れたバイオディーゼル燃料の燃焼特性を改善ためには,混合気形成を促進するための燃料組成設計や燃焼制御コンセプトが必要である.バイオディーゼル燃料とその他の燃料を混合して使用する方法では気相燃料の着火性が阻害される可能性があるため,フュミゲーションのように圧縮行程で予混合気を改質した雰囲気に燃料噴射を行うことが効果的である,と考えられる.
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