2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23510112
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
岩村 武 東京都市大学, 工学部, 准教授 (10416208)
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Keywords | トリフェニルイミダゾールダイマー / 高分子合成 / 架橋 / 解架橋 / リサイクル |
Research Abstract |
本年度の研究では、昨年度の研究により明らかになった2,4,5-トリフェニルイミダゾールダイマー骨格を有するアクリル系モノマーである4-(4,5-diphenyl-1H-imidazol-yl)-phenyl acrylate (DPIPA)のQ-e値を基に、いくつかのビニルモノマーに対してラジカル共重合を試みた。DPIPAとメチルメタクリレート(MMA)とのラジカル共重合を種々の仕込み比で行ったところ、いずれの場合も対応するポリマーを良好な収率で得ることができた。この生成ポリマーの10%重量減少温度(Td10)について検討を行ったところ、DPIPAのユニット比が増大するに伴ってTd10が上昇する結果となった。さらに、ガラス転移温度(Tg)について検討を行ったところ、DPIPA:MMA=5:5の時に最もTgが高くなることが明らかになった。また、DPIPAとMMAの共重合体を300℃で20分間、解重合反応を試みたところ、解重合反応によりMMAが78%得られることが明らかになった。一方、DPIPAおよびN-ビニルピロリドン(VP)とのラジカル共重合反応においても良好な収率で対応するポリマーが得られることから、DPIPA、N-ビニルピロリドン(VP)およびジメタクリル酸エチレングリコールを用いてラジカル共重合条件で反応させることにより、架橋ゲルを得ることに成功した。得られた架橋ゲルは比較的優れた耐熱性を有することが明らかになった。さらに、得られた架橋ゲルは水あるいはエタノールに対して膨潤する性質を有しており、特に水に対しては、架橋剤として利用したジメタクリル酸エチレングリコールの添加量が多いほど、膨潤性が高くなることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2,4,5-トリフェニルイミダゾールダイマー骨格を有するアクリル系モノマーの熱物性をはじめとする諸特性を評価することができた。生成ポリマーのガラス転移温度、10%重量減少温度などのデータから、得られたポリマーの熱安定性について評価することができた。これらの熱物性データを基に、生成ポリマーの解重合性について検討したところ、解重合性が認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では、比較的特殊な環状化合物を重合性部位として利用することを計画していたが、環状化合物に限定することなく汎用的な重合性官能基を検討し、2,4,5-トリフェニルイミダゾールダイマー骨格を有する新規モノマーの合成を行い、その架橋/解架橋性、ケミカルリサイクル性について検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進める中で、試薬、反応溶媒、NMR用重溶媒等の物品費について節約することができ、139,158円を残した。この金額は、次年度の物品費に使用する。
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Research Products
(3 results)