2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23510130
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
外山 利彦 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10294159)
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Keywords | 量子ドット超格子 / パーコレーティブ伝導 / 液相合成 |
Research Abstract |
コア粒径/シェル厚の精密制御性を有する液相合成法を用いて作製したZnO量子ドット(QD)を担持体中に分散させる。この時、自然形成されるパーコレーティブ伝導経路を利用し、量子ドット超格子(QDSL)構造を構築することを目論んだ。 前年度行ったQDSL作製条件を基にZnO QDSL構造を発光層に含有するLEDを試作した。まず、液相合成法により、ZnOコア/MgOシェル構造QDの形成を行った。成長時間を制御し、粒径2.5 nmのZnOコアを作製し、単分散性をTEM観測により確認した。さらに、ZnOコア形成後に酢酸マグネシウムを滴下して、シェル形成を行った。 このZnOコア/MgOシェル構造を高分子担持体中に分散させ、インク化した後、スクリーン印刷法により薄膜化し、発光層として使用した。LEDの構造は、ガラス/Ag/発光層/ペンタセン(正孔輸送層)/MoO3(正孔注入層)/ITO(透明電極層)のトップエミッション構造である。パーコレーティブ伝導経路が形成されたことは、TEM観測によって確認した。また、ITOの形成を下部層へのダメージをできるだけ抑えるよう低音製膜で行った。次に電流―電圧特性より、発光領域において捕獲電荷制限電流が支配的であることを確認し、電流―発光強度特性より、注入型発光であることを確認した。ただし、ZnO励起子起原の発光ではなく、ZnOのギャップ内準位を介した電子―正孔対発光であった。これは、また、MoO3正孔注入層の挿入により、注入型発光が得られたことから、正孔注入に律速されていることが示唆されたことから、これを改善し得るp形ワイドギャップ半導体の開発が必要であると推察した。 本年度の結果を踏まえて、次年度以降では、低温形成可能なp形ワイドギャップ半導体として、SnOを作製し、ZnO QDSL LEDへの適応性を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の目標であるZnO QDSL構造を発光層に含有するLEDの試作および励起子発光の評価については、実際にLEDを作製し発光は確認しており、最低限の目標は達成したと考えられる。しかし、前年度途中で研究代表者の所属が変わり、その異動にともない計画変更を行ったため、やや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
印刷形成したQDSL薄膜を発光層(n層)に用いたLED構造を試作して、電流―電圧特性およびEL特性から、キャリア輸送特性ならびに励起子発光の評価を行う。正孔輸送層(p層)には、これまでに実績のある有機材料(ペンタセン)を用いる。上部に透明電極をスパッタ製膜し、励起子EL特性を測定する。電流―電圧特性は、今年度購入物品であるプレシジョン・ソース/メジャー・ユニットを用いて行う予定である。その際、p層への注入効率が問題となると予想されるため、p形導電膜(SnO)の導入も検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度途中で研究代表者の所属が変わり、その異動にともない計画変更を行ったため、直接経費の一部も繰越となった。 次年度の研究費については、本年度繰越分を含めて、支出内容は当初計画の通り、実験原材料および実験器具の購入、成果報告、ならびに論文発表費用に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)