2011 Fiscal Year Research-status Report
コロイダルナノドットの表面改質と有機メモリトランジスタへの応用
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23510132
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
田中 一郎 和歌山大学, システム工学部, 教授 (60294302)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | メモリ / 有機薄膜トランジスタ / コロイダルナノドット / エネルギー移動 |
Research Abstract |
コロイダルナノドットをフローティングゲートに用いたペンタセンメモリトランジスタでは、高いキャリア移動度を保持したままでしきい値電圧に大きなメモリ効果が得られることが示されている。しかし、記録を書き込むのに要する時間が長く、その高速化が課題となっている。書き込みが遅い原因としてはコロイダルナノドット表面に配位している有機分子による高い抵抗が考えられる。そこで本研究では、配位有機分子を短いものに交換し記録速度を向上させることを目的としている。平成23年度はオクタデシルアミン(ODA)が配位したCdSe/ZnSドットを用いて、配位子交換の効果を光学測定によって評価することを目的として実験を行った。配位子がODAからTOPOやピリジンに交換されて短くなると小さいドットから大きいドットへのエネルギー移動がより顕著になると考えられる。その結果、フォトルミネッセンスピークが低エネルギー側へシフトすることや、蛍光の短波長領域と長波長領域における発光寿命の差が大きくなることが予想される。まず、配位子交換する前のコロイダルナノドットを用いて、希薄溶液の場合と薄膜にした場合のフォトルミネッセンス測定を行い、エネルギー移動の効果を調べた。室温で測定した場合は、希薄溶液では蛍光の短波長領域と長波長領域における発光寿命の差はほとんどなかったのに対し、薄膜試料にすると短波長領域より長波長領域のほうが発光寿命が長いことが確認された。次に薄膜試料を用いて、低温でフォトルミネッセンスの時間分解測定を行った。その結果、およそ20K以下の低温では長波長領域における発光の減衰曲線に特異な構造が現れた。そこで、エネルギー移動を取り入れたモデルに基づいてそれを解析したところ、その時定数は8.7 nsであることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度当初の計画では、コロイダルナノドット薄膜の発光の時間分解測定によりエネルギー移動の解析を通して、配位子交換の程度を定量的に把握することを目的としていた。配位子を交換していないドットでは、エネルギー移動の効果を確認し、その時定数を求めることができたが、配位子を交換したドットについての検討はまだ途上であるため、達成度は「やや遅れている。」と評価せざるを得ない。その一つの理由として、購入したコロイダルナノドットの光学測定を行ったところ、不良品と思われるデータが得られたため、業者を介して海外メーカーと交渉し、代替品を入手するのに3ヶ月程度を要したことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は配位子がODAであるCdSe/ZnSコロイダルナノドットの発光の低温時間分解測定により、エネルギー移動の効果を定量的に評価することができた。今後は、引き続き分子が短いTOPOやピリジンが配位したコロイダルナノドットの低温時間分解測定により、エネルギー移動の効果を定量的に評価して、配位子交換の程度を把握する技術を開発する。さらに、配位子交換されたコロイダルナノドットの単粒子層膜をフローティングゲートに用いたペンタセンメモリトランジスタを作製して、配位子交換の効果が情報の記録速度に向上に繋がるかどうかを検討する。同時にこのようなデバイスにおいてメモリ効果が得られるメカニズムに関する基礎的な検討を行う。配位子交換の効果が確認された場合には、高分子薄膜に高密度にコロイダルナノドットを分散させた薄膜をフローティングゲートに用いて、高いキャリア移動度と大きなメモリ効果を有する有機メモリトランジスタを開発する。また、記録の保持時間はメモリ素子の重要な性能なので、その向上についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度においては、30万円弱の次年度使用額が生じた。これはそれぞれ25万円と5万円を予算に計上していた成果発表用の旅費と論文投稿費を、研究の進捗が遅れたのでほとんど使用しなかったためである。この繰り越し分を含めた平成24年度の研究費は(1)メモリFET作製および評価に必要なコロイダルナノドット、シリコン基板などの材料や実験器具を購入する物品費(2)成果発表や研究打ち合わせのための旅費(3)国際学会参加費や論文投稿費用に使用する計画である。
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Research Products
(3 results)