2013 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ創薬による人工調製肺サーファクタントの革新的な標的治療薬の基盤及び開発
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23510134
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
柴田 攻 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (10117129)
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Keywords | 表面・界面物性 / 肺サーファクタント / ナノ医薬品 / インテリジェント・ナノ材料 / Langmuir単分子膜 / ナノ機能材料 / 呼吸窮迫症候群(RDS) / 偏光変調赤外反射吸収法(PM-IRRAS) |
Research Abstract |
フッ素化合物の炭化フッ素鎖部分は、強固な疎水性と疎油性を同時に兼備している。またフッ素化合物は、化学的不活性、低い分子間凝集能、高い気体溶解能、界面活性能、顕著な熱安定性、自己集合能を示す。これらフッ素化合物は、医薬分野に於いて体内動態の改善、 薬理効果の発現・増強、選択性の向上への応用等が大いに期待されている。本年度は、部分フッ素化アルコールに於けるフッ素化の割合と物理化学的物性相関性を明確し、人工調製肺サーファクタントに対する安全、機能的、効果的な添加物の開発を目的として研究を推進した。フッ素化の割合の異なる部分フッ素化アルコール(FnHmOH)を新規に合成し、熱量測定及び各種の界面科学的キャラクタリゼーションを行った。1:FnHmOHは293.2 から373.2Kの温度範囲で、全て吸熱的相変化を示した。F4H11OHとF6HmOHの融点は通常の長鎖アルコール(HmOH)よりも低いと言う、予想外の結果を得た。一般に、フッ素化の増大した物質は、熱安定性が良いと考えられているが、炭化フッ素部の短鎖F4H11OHやF6HmOHは逆に温度依存性が上昇している。この現象の解析は、現在各種X線測定装置により検討中である。2:気/液界面にLangmuir単分子膜を作製し、各種2次元膜物性を測定した。 その結果、融点挙動と同様にF4H11OHとF6H7OHは温度依存性が上昇していることが明らかとなった。以上の結果より、F4基及びF6基の導入により物質の溶解度、相挙動、熱安定性等の性質を不規則に変化することが見出された。これらの不規則な熱的挙動が解明出来れば、人工調製肺サーファクタント添加物へ向けた部分フッ素化合物分子設計に大いに役立つであろうと期待される。
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Research Products
(53 results)