2011 Fiscal Year Research-status Report
積層構造基板における蛍光と背景光の偏光の違いを利用したタンパク質の超高感度検出
Project/Area Number |
23510138
|
Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
秋元 卓央 東京工科大学, 応用生物学部, 准教授 (90367194)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 蛍光 / 偏光 / 誘電体 / 干渉 |
Research Abstract |
誘電体として酸化アルミニウム、金属として銀を用いて積層構造基板を作製した。蛍光物質としてはローダミンBを用いた。また、積層構造基板での蛍光を測定するための蛍光検出装置を作製した。この装置を用いて、積層構造基板で観察される蛍光の偏光を測定した。すなわち、TE偏光の励起光を積層構造基板に入射し、このときに観察される蛍光の偏光を測定した。この結果、蛍光は偏光せず、ほぼ無偏光であることがわかった。一方で、積層構造基板で反射する励起光はTE偏光を維持していた。この結果を利用し、蛍光と励起光を偏光の違いを利用して両者を分離し、S/N比の高い蛍光検出装置の開発を行った。すなわち、光検出器の直前に通常のバンドパスフィルターに加え、偏光板を挿入した。これによって、TE偏光の励起光が検出器に入射することを防いだ。この装置を用いて、積層構造基板における蛍光増強とS/N比を測定した。この結果本方法では、通常の蛍光検出法に比較し、蛍光を30倍程度増強し、かつ、約100倍S/N比を向上できることがわかった。また、この方法の応用として蛍光標識DNAの検出を行った。積層構造基板にプローブDNAを固定化し、Cy3で標識したターゲットDNAの検出を試みた。この結果、蛍光は3倍程度増強し、S/N比は5倍以上向上することがわかった。今後はDNAの固定化方法などを改良し、より蛍光シグナルを高くし、またS/N比の高い検出を試みる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
積層構造基板における蛍光の偏光について当初計画通りに知見を得ることができた。また、この知見を応用する装置を開発することもできたため、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
蛍光と励起光の偏光の違いを利用した蛍光検出装置を改良し、さらに高いS/N比で強い蛍光シグナルを測定できる装置を開発する。また、開発した装置を用いて高感度に蛍光標識タンパク質の検出を行う。24年度は、励起光の入射角度などを再検討することで、より高いS/N比を実現できる蛍光検出装置を作製する。また、蛍光標識タンパク質を検出するため、積層構造基板へ抗体を固定化する方法について検討を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、当初予想していたよりもタンパク質の使用量が少なかったことが主な原因で繰越金が発生した。繰越金については、24年度実施予定のタンパク質の検出において、抗体などのタンパク質の購入に使用する予定である。
|