2011 Fiscal Year Research-status Report
半導体プロセスによる極狭スリット細胞分離マイクロ流路形成と単一細胞分離構造の融合
Project/Area Number |
23510141
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松谷 晃宏 東京工業大学, 技術部, 技術専門員 (40397047)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | マイクロ・ナノデバイス / プラズマ加工 / 細胞分離 / マイクロ流路 / 半導体プロセス |
Research Abstract |
近年,単一細胞操作の技術開発の要求が増加している。これは従来の生化学的な集団的分析ではなく,個々の細胞の振舞いに着目した研究により創薬や細胞工学の研究に新しい展開が期待できるためである。本研究は,大腸菌のような1μm程度の大きさの細菌細胞について単一細胞の操作技術を開発するものであり,これまでに開発したマイクロピラーアレイ構造を利用した大腸菌の単一細胞分離技術と,新しく開発する細胞の大きさを分離可能なマイクロ流路を融合することにより,μmサイズの単一細胞操作分析技術の開発を目指す。平成23年度は,単一細胞分離構造への細胞導入のための流路技術について,気体と液体を分離し細胞を大きさ毎に分離できる極狭スリット構造マイクロ流路を形成することを目標として,2種類の形状のマイクロ流路について実験を行った。(1)極狭スリットマイクロ流路の形成には,Siウエハと電子線リソグラフィとAr/F2エッチングを用いた。サブミクロンの極狭スリットは電子線リソグラフィにより形成し,Ar/F2によるエッチングは気相エッチングとし,サブミクロンの極狭スリットから供給されるF2ガスとSiの反応で等方的にエッチングされる極狭スリットのマスク下部に半円形状の流路として利用可能な空間を実現した。このサイズのスリット幅では液体は容易に通過しないが気体は通過可能であり,流路開口部をふさぐ必要のない気液分離マイクロ流路の形成に成功した。 (2)細胞を大きさ毎に分離できるマイクロ流路の形成には,上記と同様Siウエハとエッチング技術を用いた。まず,幅1μm程度のスリットをマスクとして,気相のAr/F2エッチングを行い半円形状の流路となる空間を形成した。次に,このマスクを利用して垂直形状の塩素プラズマを用いたドライエッチングを行い,2段の流路をセルフアライン的に形成し,実際に大腸菌を流路内で輸送することに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の実験計画では,極狭スリットマイクロ流路の形成と細胞を大きさ毎に分離できるマイクロ流路の形成を目標としていたが,どちらも購入した真空部品を用いてAr/F2気相エッチング用の反応容器を製作し,半導体プロセス技術を用いて提案する流路の実現に成功し,実際に大腸菌を流路内で輸送することにも成功し,平成23年度の目標を計画通りに達成した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は,平成23年度の研究で実現した流路と2次元マイクロピラーアレイ構造を用いた細胞のサイズ毎の単一細胞分離を目標とする。これまでに大腸菌細胞の単一分離に成功しているマイクロピラー囲い構造を応用し,大きさの異なる囲い構造を並列に多数配置して,様々な大きさの細胞が混入している培養液についても大きさ毎の単一細胞分離が可能なような最適配置について実験を行う。また,細胞の状態を把握するために蛍光観測も併用する。 平成25年度は,単一細胞の輸送技術については,マイクロピラーアレイ構造上での細胞輸送と上記単一細胞分離構造との融合チップの製作を目標とする。細胞輸送はマイクロピラーをアレイ状にびっしりと敷き詰めた平面上で行う。それぞれのマイクロピラーの間の距離は1μm程度の大きさの細菌細胞が落下しないようにサブミクロンとする。ドライエッチングプロセスによりマイクロピラーの先端を球状に微細加工して先球ファイバー形状とし,裏面からのレーザ光の集光スポットに細胞をトラップし光ピンセットの機能をもたせる。トラップした細胞は,裏面のレーザ光源の位置を走査することにより順次移動し任意の位置へ誘導し,細胞を任意の位置に誘導することが可能とする。また,メンブレン構造のマイクロピラーアレイを製作し裏面からの光学的距離の最適化実験を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞の状態を把握するために,量子ドットビーズを用いた蛍光観測も併用するために,平成24年度は蛍光顕微鏡を購入する。また,研究成果を雑誌論文や学会発表する際に適宜研究費を使用する。
|
Research Products
(3 results)