2012 Fiscal Year Research-status Report
有機半導体単結晶によるナノスケール光共振器構造の構築
Project/Area Number |
23510147
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊代 良太郎 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (00396417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徐 静涛 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助手 (40571097)
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Keywords | FET / 有機半導体 / ナノ構造 / 光共振器 / 有機単結晶 / レーザー発振 |
Research Abstract |
既存の光共振器構造と電界効果型トランジスタ(FET)構造とを組み合わせ、有機半導体単結晶に適したレーザー素子構造を構築する、という研究目標を達成するため、新しい高効率発光有機単結晶材料の探索、およびFET構造中の界面状態制御による発光の高効率化をH23およびH24年度に行った。さらにH24年度においては固体物性評価の専門家を研究協力者として加え、半導体伝導特性評価およびナノ構造物性の観点から、デバイス特性の向上を目指した研究を行った。 その結果、有機材料合成研究グループとの共同研究によるフェニルチオフェン類の新規誘導体化合物の合成とその単結晶化、発光波長に対する元素置換効果の発現などを達成し、また高誘電体ポリマー絶縁膜に新材料を適用し、雰囲気に対するFET特性の安定度を飛躍的に高めることに成功した。フェニルチオフェン新規誘導体化合物については側鎖長や置換基位置を変化させた分子の合成および結晶化に関する共同研究を継続して行っており、随時発光効率を評価しながら分子設計を進展させている。 またさらに、トランジスタ特性に大きな影響を与える界面状態の状態観察ならびに状態制御に関しての検討を行った。 以上の成果をもとに研究最終年度にあたるH25年度においては「光共振器-FET複合構造の構築と発光特性の評価」を中心目標とし、物質合成と構造解析の専門家ならびに発光特性評価の専門家を研究協力者として新たに加えた研究体制により、研究を遂行していく所存である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
レーザー素子に用いられる光共振器構造のうち、本研究では回折格子型構造、特に分布ブラッグ型反射器(DBR)構造に着目した光共振器構造の構築を第一目標とし、H23年度においては新しい高効率発光有機単結晶材料の探索、およびFET構造中の界面状態制御による発光の高効率化を、それに加えH24年度からは半導体伝導特性評価およびナノ構造物性の観点から、デバイス特性の向上を目指した研究を行った。 新しい高効率発光有機単結晶材料の探索においては、東北大学原子分子材料科学高等研究機構内の有機材料合成研究グループとの共同研究を開始し、結晶端面発光において高発光効率を有するフェニルチオフェン類の新規誘導体化合物の合成とその単結晶化に成功し、発光波長に対する元素置換効果などの知見を得ることに成功した(S.Ikeda, R.Kumashiro et al., 2011 Fall MRS meeting, (November 28-December 2, 2011, Boston, MA, U.S.A.)など)。 FET構造中の界面状態制御による発光の高効率化においては、DBR構造構築において微細構造の作りこみが想定される高誘電体ポリマー絶縁膜に新材料を適用し、雰囲気に対するFET特性の安定度を飛躍的に高めることに成功した(T.Kanagasekaran, R.Kumashiro et al., 日本物理学会第67回年次大会, (March 24, 2012, Nishinomiya, Japan)など)。 またさらに、物性物理学的観点から、トランジスタ特性に大きな影響を与える界面状態の状態観察ならびに状態制御に関しての検討を行った(J.T.Xu et al., 日本物理学会2012年秋季大会, (September 18, 2012, Yokohama, Japan))。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の到達目標である「既存の光共振器構造と電界効果型トランジスタ(FET)構造とを組み合わせることによる、有機半導体単結晶に適したレーザー素子構造の構築」を実現するため、研究最終年度にあたるH25年度においては以下のような研究方針を定める。 光共振器-FET複合構造に対して光学励起レーザー発振実験を行う。光励起実験の結果から電気励起によるレーザー発振に要する電流出力を見積もり、それを基に繰り返しデバイス構造の最適化を図る。競合する他の研究グループにおいては、有機半導体表面への直接微細加工による光共振器構造の作成と、光学特性評価が行われ、一定の特性増進効果が認められる、という結果が示された。しかしながら上記の方法は有機半導体層に与える構造的な影響が大きく、FET特性の損失に対する懸念がある。本研究で進める光共振器構造作成は高誘電体ポリマー絶縁膜上を想定しており、したがってFET特性への影響は最小限に抑えられると考えられ、またポリマー絶縁膜の化学的性質および可塑性による微細構造作成など、幅広い対応をとることができ、有機半導体層への直接的加工との比較検討も行なっていきたいと考えている。 発光有機半導体FETにおいては雰囲気がFET特性に与える影響が極めて大きいことが、これまでの実験を通して明らかになっている。この問題の解決に対しては、FET表面へのガス不透過物質保護層形成が有効であると考えられる。ここで光共振器構造を直接保護層上に作成することができれば、FET特性を安定化させた状態での光学特性評価が可能であり、また同一FET上に多パターンの光共振器構造を作り込んでの特性比較など、様々な評価が可能となる、と考えられる。このアイデアを実証するための技術開発も積極的に推進していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Quantitative relation between structure and thermal conductivity in type-I clathrates X8Ga16Ge30 (X = Sr, Ba) based on electrostatic-potential analysis2012
Author(s)
A. Fujiwara, K. Sugimoto, C.-H. Shih, H. Tanaka, J. Tang, Y. Tanabe, Jingtao Xu, S. Heguri, K. Tanigaki, M. Takata
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Journal Title
Phys. Rev. B
Volume: 85
Pages: 144305
DOI
Peer Reviewed
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