2012 Fiscal Year Research-status Report
その場観察による金属ナノ粒子の活性起因の解明および応用展開
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23510149
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
GALIF KUTLUK 広島大学, 放射光科学研究センター, 特任准教授 (00444711)
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Keywords | 金属ナノ粒子 / ナノ触媒 / 表面・界面物性 / 光電子分光 / STM STS |
Research Abstract |
納入した回転機構付き冷却・加熱機構の検収運転を行い、仕様未達成個所あったために、業者側の再整備を経て当初要求仕様をクリアすることが確認出来た。ガス中蒸発装置の蒸発部の制御性向上の為の放射線シールド作成した。 提案書で予定している通り、光電子の平均自由行程とその運動エネルギーの関係の活用により、超高真空中においてHOPGにAuクラスターを形成して(粒径は未確認ではあるが)XPSおよびUPS測定により、金の板のAu4fスペクトルに比べてAuクラスターの場合は表面状態が目立っていることが確認できた。 本研究では最終的にAu,およびAgナノ粒子の結晶構造そしてその電子構造を明らかにする上で安価な触媒を提案するところに目標をおいている。つまり固体では安定であるAuが2-3nmのナノ粒子になるとどうして活性を示すか、この活性メカニズムにvalence 電子がどのように係わるか、そしてd電子の振るうまいがどのように変化するのかなどをまず明らかにしたい。その先行研究として、走査型トンネル顕微鏡(STM),走査型トンネル電子分光(STS)、そして真空紫外線電子分光法を用いて、Smの電子構造を調べた。Smは原子、あるいは低次元状態では2価(4f66s2)、そして固体状態では3価4f5(5d6s)3状態にある。HOPG表面にSmを超高真空中蒸着して、その粒径を0.1~10nmの範囲内で制御してその電子状態が粒径とどのように係わっているかをSTM/STS用いて計測を行った結果、0.2nm以下では非金属的な振る舞いするのにたいして,0.3nm以上では金属的なバンド構造を示すことを確認した。。固体状態ではd,f電子がFermi 近傍非占有状態密度を持つのに対して、Smナノ粒子の場合はFermi エネルギー近傍では状態密度は観測されない。d,f 電子構造がSmの形状に依存して変化していることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
回転機構付き冷却加熱機構を納入後検収動作チェックの段階で、温度制御電源系統に欠陥があることが判明した。業者サイドで再度作成の必要となったため、この機構を光電子分光システムに組み込むのが時間的に遅れた。よって、粒径が制御されたAu、Agナノ粒子の形成が出来なく、研究スケジュールに遅れが出ている。この間、上記で述べたSmに対して、考案している研究手法の有効性について確認作業を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
粒径が制御されたAu,Agナノ粒子を創製してそれらをHOPG上に担持させるサンプルを作る。これらのサンプルを光電子分光より占有状態の粒径依存性を調べる。提案書の25年度の計画はPEEM(photoemission electron microscope)を用いて、Au, Agナノ粒子の活性表面とCO そしてO2など反応ダイナミクスを観察する予定であるが、PEEM装置が故障中であるために、その修理の期間中は、STMおよびSTSを活用して、ナノ粒子の結晶構造および電子構造を調べる。STSは固体表面のフェルミ面近傍の非占有状態に関する情報を提供するところが特徴的である。具体てきには、Au,Agにおいてその価電子とd電子がナノ粒子の状態においてはどのように振る舞うかを明らかにする。HOPG表面に置けるSmのSTM/STSの研究からはHOPGは基板として優れていることが確認できた、HOPGは安定な物質で残留ガスの影響を受けにくいだけでなく、SmやAuとはほとんど反応しない。したがって担持したAu,Agクラスターの素性は基板の影響受けること調べられる。 これに続きCO,O2をサンプルにdose してAu, Agナノ粒子の電子状態の変化その場を観察を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は下記のように使用予定である。 ナノ粒子サンプル作成するための、Au, Agの蒸発用金属材料、担持材料としての HOPG, Kish-graphite、Natural graphite、そして標準サンプルとしての Au単結晶、Ag単結晶を納入する予定である。この他、これらの測定サンプルを計測装置(STM,UPS, XPS)に組み込むホルダーを作成する為の機械加工費に充てる。測定結果の解析の為のパーソナルコンピューターを購入する。得られた結果を国内外の学会で発表を行うための旅費も必要である。
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Research Products
(6 results)