2011 Fiscal Year Research-status Report
コアシェルナノ粒子の結晶配向合体による量子ドット超格子構造体の作製
Project/Area Number |
23510151
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
上原 雅人 独立行政法人産業技術総合研究所, 生産計測技術研究センター, 主任研究員 (10304742)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | ナノ粒子 / 粒子合体 / 電子顕微鏡 / 電子線トモグラフィー |
Research Abstract |
本研究課題において、コアシェルナノ粒子の結晶配向合体機構の解明と応用は最も重要な研究項目である。本年度は、シェル相である硫化亜鉛(ZnS)について、一方向への結晶配向合体機構による粒子成長が生じる条件を探索した。研究結果を以下に示す。(1)ヨウ化亜鉛と硫黄を原料に、オレイルアミンを配位子として用いオクタデセン溶媒中で200℃に加熱することで、ZnSナノ粒子を合成した。粒子径の揃ったナノ粒子を、直径約3nm~5nmに制御しながら合成することができた。(2)配位子にオクチルアミンを用いた場合、オレイルアミンより配位力が強いため、幅約2nm、長さ5nm程度の大きさや形状の揃ったナノロッドが生成された。配位子の添加量を減らすことで粒子径の揃ったナノ粒子を得ることができた。(3)オレイルアミンで合成したZnSナノ粒子について未反応物除去後、オレイルアミン溶液中に分散させて種々の加熱条件で、結晶配向合体機構による粒子合体が生じる条件を探索した。加熱処理した試料は、洗浄処理後電子顕微鏡により形態変化を観察した。配位子や溶媒、温度等の影響を調査したが、300℃程度の高温でも粒子合体は観測されなかった。しかし、添加物を用いることで一方向成長することを見出した。高分解能電子顕微鏡および電子線トモグラフィーによる3次元的形態および原子配列等の構造解析により、100℃程度の低温では粒子合体での成長が示唆された一方、高温では溶解・析出機構での成長が示唆された。今後、速度論的解析を行い、成長機構について詳細な考察を行う。上記の結果を踏まえて、オレイルアミンを配位子に選定し、CuInS2/ZnSコアシェルナノ粒子を合成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々の条件探索により、本研究課題でキーとなる、ナノ粒子の一方向への結晶配向合体現象が生じる条件を見出すことができた。この成果により、量子ドット内包ナノロッドの作製が遂行でき、さらに量子ドット超格子構造体の作製など、ナノ粒子を原料とする高度な製膜技術の展開が可能となる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた成果、ZnSナノ粒子の一方向成長について、速度論的解析を行って成長機構について考察し、配向合体機構の理解を深め、高速成長の条件探索と伴に2次元的な成長について調査する。また、本年度の成果を基に、コアシェルナノ粒子を一方向に結晶配向合体させ、量子ドット内包ナノロッドの合成を目指す。さらに、ロッドの側面同士で合体できる条件を探索し、ナノプレートあるいは、ナノコロニーの作製を目指す。透過電顕等を用いて、熱処理による形態変化を解析する。ナノ粒子の表面構造を調査するために、電子線トモグラフィにより3次元形状をフォローしつつ、同時に格子像観察によって結晶学的な議論を行う。様々な条件下で合体させた試料について構造解析し、ナノ粒子の表面構造の環境依存性を議論する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ZnSナノ粒子の一方向成長についての速度論的解析のための合成および観察実験、コアシェルナノ粒子の合成とその配向合体に関する実験や観察等に必要な試薬や観察用支持膜、器具の購入に使用する。また、本年度の成果を国際学会で発表する予定であり、渡航や参加に使用する。
|
Research Products
(1 results)