2012 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子機能予測における数理工学指向アルゴリズムの開発
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23510152
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
施 建明 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70287465)
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Keywords | オペレーションズリサーチ / 数理最適化 / 数理計画 / MHC クラス II / ペプチド結合予測 |
Research Abstract |
本研究は主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスIIにおけるペプチド結合の予測を目的としている。ペプチド結合の高精度予測はがんをはじめとして、エイズ、薬剤耐性菌感染症など、多くの病気に対してワクチンの効率的に開発することに役に立つ。 ペプチド結合予測においては、その他に様々なヒューリスティック方法が提案されているが、ORの観点から、既存の予測方法は、いずれも予測の精度と計算時間の効率性の両面で、質の高いものとは言い難い。そこで、本研究では、これらの予測に使われている数理モデルを主に分数和計画問題であるが、具体的にはワクチン開発における重要な問題である主要組織適合抗原(MHC)クラスIIにおけるペプチド結合の予測の中核はEntropyの最大化問題を分数和計画の最適化 問題に帰着できる。しかし、分数計画において、分数の個数が大きな場合、その最適解を求める効率的なアルゴリズムが知られてない。 本研究業績は低次元における分数の個数が多い場合、分数和計画の最適解を求めるアルゴリズムに関するものである。 方法として、非線形関数である目的関数の緩和問題を作り、低次元空間での分子限定法を適用することにより、最適解を求めるアルゴリズムを提案し、精度保証の近似解を得るまでの計算手間の予測もした。 計算機実験では一様分布に従うテスト問題に対して、分数の個数が70以上でも提案したアルゴリズムが20分程度で最適解を求めることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画としてはH24年度まで以下のように分数計画問題の最適化を行うことでした (1) 半正定値計画を用いて分数和計画の多項式緩和を考える。 (2) 分数問題と等価式の最適解になる条件についても調べる。 (3) その上で、緩和問題を解くアルゴリズムの提案と計算機実験を行う。 (4) 遺伝子機能を予測するため、実験をする。 半正定値計画を用いて分数和計画の緩和に予想以上の時間がかかり、まだ終わってない。低次元でデータが多い場合において、分数計画の最適解を求めるアルゴリズムを開発したので、このアルゴリズムを用いて、遺伝子機能を予測する可能性も検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
半正定値計画を用いて分数和計画の多項式緩和がどのくらい有効かを判断したうえ、分数和計画問題についての計算機実験結果を行う。そのうえ、遺伝子機能の予測モデルとそのアルゴリズムを確立する。 最終年度になるが、できるだけ、計算機実験を行い、主要組織適合抗原(MHC)クラスII の機能予測問題へ適用し、成果をあげてから、論文をまとめたいことろである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
いままで、主にOR関係の研究会での研究発表でしたが、研究成果を生物情報系の研究会でも発表することと、 研究論文とまとめ、その添削にも研究費を充てる予定。 また、遺伝子機能予測モデルを確立するために、分子生物学専門家にコメントをしてもらうことに対する謝金や、研究成果を発表するための国外(内)旅費に充てる。
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Research Products
(3 results)