2012 Fiscal Year Research-status Report
最小費用全域木ゲームのShapley値に対する近似アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
23510166
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
安藤 和敏 静岡大学, 工学部, 准教授 (00312819)
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Keywords | ゲーム理論 / OR / アルゴリズム / 組合せ最適化 / 離散数学 |
Research Abstract |
昨年度は、最小費用全域木ゲームのShapley値に対する近似アルゴリズムを開発し、その近似精度に対する実験的評価を行った。しかしながら、近似精度の比較対象として想定していたサンプリングアルゴリズムについては精度保証が存在していない、つまり、どれだけのサンプルを得れば与えられた近似精度を達成する近似解が得られるかという分析が存在しないことが判明した。そのために、我々の近似アルゴリズムの誤差評価は不十分なままであった。 この問題を解決するために、我々は最小費用全域木ゲームのShapley値に対するサンプリングアルゴリズムの精度保証についての研究に取り組んだ。その結果、筆者らは任意の最小費用全域木ゲームと近似精度ε > 0 が与えられたとき、プレーヤー数とεとγの多項式によって表される回数のサンプリングを行えば、サンプリングアルゴリズムは、高確率でこの近似精度を達成する近似解を生み出すことを示した。ここで、γは与えられたネットワークの枝費用の最大値である。 これまでに、一般の協力ゲームのShapley値に対してサンプリングによる近似アルゴリズムが提案されていたが、最小費用全域木ゲームのShapley値に対しては、与えられた精度εを達成する近似解を得るためには、どれだけのサンプルを得る必要があるかという分析は存在していなかったために、我々の結果は協力ゲーム理論のアルゴリズム的側面に対する重要な貢献であると考えらえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年の研究実施計画に記述した最小費用全域木ゲームのShapley値に対する近似アルゴリズムの近似精度の評価についての実験が不十分であった。その理由は、近似精度の比較対象として想定していたサンプリングアルゴリズムについては精度保証が存在していなかったからである。この問題を解決するために、本年度は最小費用全域木ゲームのShapley値に対するサンプリングアルゴリズムの精度保証についての研究に取り組んだ。この研究に多くの時間がかかってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず平成24年度の研究で得られた最小費用全域木ゲームのShapley値に対するサンプリングによる精度保証付き近似アルゴリズムに関する成果をまとめる。この成果に基づいて、平成23年度に実施する計画であった、本研究で提案する最小費用全域木ゲームに対するShapley値に対する近似アルゴリズムの精度の検証実験を行い、それを論文としてまとめる。されに、平成24年度の研究として行う予定であった「任意の費用関数の部分木距離による近似とそれに基づくShapley 値の近似アルゴリズム」及び「Shapley 値が多項式時間で計算できる最小費用全域木ゲームのクラスの拡張」についても研究を進めてゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
数値実験を行うために23年度に消耗品費に計上した数理計画ソフトウェアについて、この予算執行を24年度に繰り越した。しかし、24年度については主に理論的な研究を行っていたために当該年度ではこのソフトウェアを必要としなかった。このために次年度使用額が生じた。しかし、次年度には本格的な数値実験を行う予定であるために、この購入費をさらに次年度に繰り越すことにする。その他には、研究成果を広く世の中に公表するために旅費を計上する。また、既存研究のサーベイのために書籍の購入代金を設備備品費に計上する。
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