2013 Fiscal Year Annual Research Report
最小費用全域木ゲームのShapley値に対する近似アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
23510166
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
安藤 和敏 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00312819)
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Keywords | ゲーム理論 / OR / アルゴリズム / 組合せ最適化 / 離散数学 |
Research Abstract |
協力ゲーム理論における中心的課題は,プレイヤー全体として負担する費用をプレイヤー間でどのように配分するかということである. Shapley値は各プレイヤーへの合理的な費用配分を決定する方法の一つとして広く研究されている.最小費用全域木ゲームは協力ゲームの一つであり,通信網構築などの状況においてユーザ間での適切な費用配分法を分析するためのゲーム理論的モデルである.このように現実的な応用問題を考える上ではShapley値の効率的な計算が重要であるが,最小費用全域木ゲームのShapley値の計算は現実的に困難であることが示されている. したがって, 効率的に計算が可能でかつ精度の高い近似値の計算が次善の策となる. 平成23年度に最小費用全域木ゲームの近似計算に対する新しいアルゴリズムを提案した. このアルゴリズムは与えられた費用関数を木距離で近似し,この木距離によって定義される最小費用全域木ゲームのShapley値を元の費用関数によって定義される最小費用全域木ゲームのShapley値の近似値とする. このアルゴリズムにおいて,任意の費用関数を木距離によって近似するアルゴリズムが必要であるが,こうしたアルゴリズムの一つにBuneman木による方法がある.本年度の研究でBuneman木の構成に密接に関連するツリーポッピング・アルゴリズムの効率的な二つの実装方法を示した. 平成24年度には任意のε>0に対して誤差がε以下であるようなShapley値の近似値を3/4以上の確率で出力する擬多項式時間乱択アルゴリズムを開発した.このアルゴリズムの出力を真のShapley値の代用とすることによって,平成23年に開発した木距離近似に基づくアルゴリズムの近似精度の評価を数値実験によって行った.その結果,この近似アルゴリズムは費用関数が木距離に近いときには高い近似精度が達成できることが示された.
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