2011 Fiscal Year Research-status Report
システマビリティを導入したサービス指向型ソフトウェア信頼性評価法に関する研究
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23510170
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
得能 貢一 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40263488)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | システマビリティ / 環境係数 / 運用段階 / ソフトウェア信頼度成長 / マルコフ過程 / 非同次ポアソン過程 / ハザードレートモデル |
Research Abstract |
平成23年度は,まず,マルコフ過程に基づくソフトウェア信頼性モデルに,ソフトウェア故障発生現象に関するテスト環境と運用環境の違いを表現する環境係数を導入し,その上で環境係数のランダム性,すなわちシステマビリティを考慮した.環境係数のランダム性を記述するのに用いた分布は,ガンマ分布およびベータ分布である.これら2つの分布を適用した場合をそれぞれ解析し,累積修正フォールト数やソフトウェア故障発生数の平均,ソフトウェア信頼度,平均ソフトウェア故障発生時間間隔といった運用段階を意識したソフトウェア信頼性評価尺度を,デバッグ回数およびその後の運用時刻の関数として導出した.数値実験では,特に環境係数の不確定度合(あるいは確信度合)とソフトウェア信頼性評価結果の関係について考察し,環境係数の不確定度合が高まると楽観的な評価結果を示す傾向があることがわかった. 上記と同様な解析・分析を,非同次ポアソン過程(NHPP)モデルについても実施し,このモデルについても同様の傾向があることを確認した.また,NHPPモデルに対しては,これまであまり議論されてこなかったソフトウェア可用性評価法への応用についても考察した.システムの不動作時間の記述については複合過程を用いて,マルコフ過程モデルと同様に,瞬間ソフトウェア・アベイラビリティや平均ソフトウェア・アベイラビリティといった可用性評価尺度を導出することができた.これは,NHPPモデルの適用範囲が拡大されたことを意味し,有意義な成果の1つである. さらに,ハザードレートモデルに対しても,システマビリティを導入した信頼性評価法を議論し,ソフトウェアの最適リリース問題にも応用した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に実施した研究は,研究計画調書に記載された「初年度の研究計画・方法」に沿っており,ほぼ予定通りの達成度である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は,前年度のシステマビリティを導入した種々のソフトウェア信頼性モデルを基に,サービス指向の可用性評価法の構築に展開する.特に,複数のサービス(仕事)を同時に処理するマルチタスクソフトウェアシステムに対して,システムのサービス指向型性能評価モデルを構築する.システム内の仕事の処理規程は無限サーバ待ち行列理論を用いて記述し,処理時間制約以内に処理が首尾良く完了する仕事数の確率分布を解析する.この分布に基づいて,定量的なサービス可用性評価尺度を導出する.具体的には,単位時間当りに到着する仕事数に対する処理可能な仕事数の割合を表す瞬間仕事処理完了率(instantaneous task completion ratio)やある時間区間に到着する仕事数に対する処理を完了することができなかった仕事数の割合を表す累積仕事損失率(cumulative task incompletion ratio)といったリアルタイム性(real-time property)を考慮した定量的なサービス可用性評価尺度を導出する.本モデルの適用例を示して,環境係数の導入および運用環境の変動性・不確定性が,システムのサービス可用性評価結果に対してどのような影響を及ぼしているのかを考察し,本モデルの有効性を検証する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
●物品費(ネットワークストレージ,ワークステーションなど)●消耗品(解析ツールソフトウェア,論文別刷など)●国内旅費(成果発表4回,研究打ち合わせ2回)●外国旅費(成果発表2回)●謝金(資料整理補助・5人×5日)●その他(会議費,文献複写料など)
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