2012 Fiscal Year Research-status Report
動的システムに対する縮小推定アルゴリズムの開発とその実用化に関する研究
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23510171
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
土肥 正 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00243600)
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Keywords | 縮小推定 / ウェーブレット / 信頼性 / 性能評価 / 確率過程 / 動的システム / 統計的推定 / ツール開発 |
Research Abstract |
アルゴリズム設計と解析:非定常ポアソン過程, 非定常マルコフ過程, 複合ポアソン過程に対するウェーブレット縮小推定に関する理論的な解析を行った. 特に、ソフトウェアフォールトデータに適用し、ウェーブレット縮小推定が従来の最尤推定法よりも高い適合性と予測精度を保証出来ることを実証した. 汎用推定ツールの開発:上述のタスクで開発されたアルゴリズムの実装を行い,平成23年度に開発されたシステムの拡張を行った. 特に, システム開発の中でも主要な作業である推定カーネルの開発のための補助作業に注力した. 性能評価モデルの解析:自動車間通信システムの性能評価問題に着目し, ソフトハンドオーバーを伴うCDMD (Code Division Multiple Access) 移動体通信網のモデルである非定常マルコフ過程のオンライン推定について考察を行った. また, パケット損失率・スループット・遅延時間・回線使用率など, 通信トラヒックの状態に関する変量の分布の裾野の振る舞いは通信品質・アプリケーション性能・ネットワーク設計などに大きな影響を与える. この問題にウェーブレット縮小推定を適用することで, Gross-Error-Robustnessなどの性質を保障する推定方式を確立した. 最終的に, 研究代表者らの研究グループによって近年開発された, MAP と複合ポアソン過程に対する高速 EM アルゴリズムとの比較を通じて, 計算効率と推定精度を比較を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、ソフトウェア信頼性評価に特化したウェーブレット縮小推定の結果として, 各種ウェーブレット関数に対して縮小推定の方法を開発した. 具体的に, それらの理論的研究成果は, Advances in Software Engineering, IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (A), IEEE Transactions on Reliability などの学術雑誌で発表することが出来た. また, 国際会議 The 17th IEEE Pacific Rim International Symposium on Dependable Computing (PRDC-2011), 及び The 6th IEEE International Conference on Software Security and Reliability (SERE-2012) でも論文が採択され, SERE-2012 では最優秀論文賞を IEEE Reliability Society から授与されており, 世界中から注目を集めた成果を得ることが出来た. 上述のような査読付き論文を発表することが出来, 信頼性評価におけるウェーブレット縮小推定の基本的な枠組みは完成したように思える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は, 性能評価モデルの解析結果を実データに応用することで, ウェーブレット縮小推定の他分野への適用について研究を行ってゆきたいと考えている. また, 信頼性評価の問題においても, 単にフォールトカウントデータしか得られていないという状況から、共変量としてのメトリクスデータが観測されている状況に考察をシフトしてゆく必要性があると考えている. その際, ウェーブレット回帰と呼ばれる特殊な回帰構造に着目し, 本研究で開発された縮小推定アルゴリズムやその関連ツールを用いた分析手法を確立したいと考えている. 近年, 統計的回帰分析と学習理論の融合によって注目を集めている Ridge 回帰や Lasso (Least absolute shrinkage and selection operator) 回帰の考え方を応用し, 異なるデータ構造をもつ動的モデルの推定問題を定式化し, その実利用性について検討したいと考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は, 主に得られた研究成果を発表するために必要な旅費として使用する予定である. 具体的に, 2012年度に参加・発表した The 7th IEEE International Conference on Software Security and Reliability (SERE-2013) や信頼性・保全性の基礎理論を発表するために世界中の研究者が集結する The 8th International Conference on Mathematical Methods in Reliability, --Theory, Methods and Applications (MMR-2013) に論文を投稿し, 研究成果の先鞭をつけることを予定している.
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