2011 Fiscal Year Research-status Report
生鮮品を取り扱う販売物流を対象とした新しい在庫管理方式の提案
Project/Area Number |
23510173
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
菅原 光政 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 教授 (60196706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹野 健夫 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 准教授 (10305302)
堀川 三好 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 准教授 (40337473)
植竹 俊文 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 講師 (20305288)
岡本 東 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 准教授 (10305310)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Vender Managed Inventory / 販売物流 / 在庫管理 / 農産物産地直売所 / 経営情報システム |
Research Abstract |
本研究は、生鮮品を取り扱う販売物流を対象にVender Managed Inventoryが果たす役割や導入に必要な事項についてまとめることで多様化が進む生鮮品の流通形態にあった新しい在庫管理方式を提案することを目的としている。23年度は販売VMIの理論形成および共同研究先である産直への適応モデル(入荷依頼方式モデル、販売価格決定モデル、販売予測モデル)の提案および一部導入を行った。 入荷依頼方式モデルについては、生産者ごとの栽培計画を立案する仕組みを情報技術を用いて支援することにより実現し、対象団体で運用した。その結果、産直全体の栽培計画の立案や生産者ごとの栽培品目の把握が可能となり、店内在庫にあわせて入荷依頼を行うための基盤を構築した。同時に、生産者へのアンケートや利用状況より販売VMI導入におけるフレームワークを構築する知見を得た。併せて、過去4年間のPOSデータをもとに売上情報について分析を進め、店内在庫や売り上げ状況によりどのような入荷依頼を栽培計画と連動して生産者へ出すのがよいかについて検討を進めた。 販売価格決定モデルについては、店内滞留時間と販売価格の関係の観点から分析を進め、対象団体において生産者が価格決定を行う際(商品ラベル製作時)の意思決定支援システムを構築し試行している。特に、商品ごとに価格設定が店内滞留時間に与える影響は異なるため、継続してデータ収集を行うことで戦略的な価格決定方針について検討していく必要性があるという知見を得ている。 販売予測モデルについては、主力商品の売り上げ実績データをもとに4種類の予測モデルへの適用とその精度について分析を行い、商品ごとの適切な販売予測モデルの提案を行った。今後、先述の栽培計画と連動して栽培計画を積み上げた販売計画について生産者間で調整する際の指標として産直運営者らの参考資料として活用していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、大きく分けて「販売VMIの理論形成」、「販売VMIモデルの検証」、「フレームワークの構築」の3段階で研究を進めている。 全体としては、共同研究先である産直を適用事例にして産直VMIを提案し、在庫管理方式の改善や情報システムの導入を進めており、24年度以降の計画であった販売VMIモデルの検証に必要なデータの収集・分析やフレームワークの構築に関する知見についても得られており、おおむね順調に進展している。 「販売VMIの理論形成」においては、「販売VMIモデルの提案」「基本特性の解析」「サブモジュールの構築および検証」を行う必要があるが、「販売VMIモデルの提案」や「サブモジュールの構築および検証」は予定通り進捗したものの、一般的な販売VMIを対象とした「基本特性の解析」については、まだ解析が不十分であるため早急にまとめていきたい。 「販売VMIモデルの検証」については、産直VMIの導入に伴い構築した情報システムの利用状況や利用者のアンケート、およびシミュレーション解析を行うためのデータが収集されており、一部その評価についてもまとめている。 「フレームワークの構築」については、産直VMIの導入について必要なフレームワークについては構築されつつあるが、一般的な販売VMIのフレームワークとして拡張する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り24年度以降は「産直VMI方式の運用および効果検証」および「販売VMIのフレームワークの構築」を行う。併せて、販売VMIの基礎特性を明らかにするためのシミュレーション解析を進める。 「産直VMI方式の運用および効果検証」については、産直VMIモデルを適用するための業務改善と情報システムの拡張を行う。すなわち、栽培管理システムと販売予測システムを導入し、栽培計画と販売予測と連動した販売計画立案支援を行う。同時に、入荷・在庫管理システムを拡張し、入荷依頼方式モデルを利用した各生産者への入荷依頼の運用を試行する。また、販売価格決定支援については継続した運用を行う。 「販売VMI導入におけるフレームワークの構築」については、販売VMIモデルの構築や解析および産直VMIの導入で得られた知見を要約し、販売VMIを導入する際の指針となりうるフレームワークを構築する。これらの結果について、学会発表および論文投稿を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、産直VMIの実証実験を行うための設備として、対象産直において既に導入済みの情報システム(サーバ3台,端末5台,ラベル用プリンタ3台,プリンタ1台)の活用をする。設備拡張として新たにインターネット用サーバ2台(開発用および運用・検証用)、クライアントPC1台(大学に設置)を購入する。インターネットサーバーは、生産者に出荷依頼をするためのメールサーバーとしての役割のほかに、在庫状況や栽培計画と連動し出荷依頼品目や量について算出する役割を持つ。 また、国内外の流通、経営、情報の分野における学会において成果について発表を行う。
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Research Products
(4 results)