2011 Fiscal Year Research-status Report
選挙制度の評価またはデザインを支援する定量分析法の深化とその実装
| Project/Area Number |
23510180
|
|---|
| Research Institution | Bunkyo University |
|---|
Principal Investigator |
根本 俊男 文教大学, 情報学部, 教授 (40286026)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
|
| Keywords | 一票の格差 / 小選挙区制 / 選挙制度 / オペレーションズ・リサーチ / 大規模データ / 政策科学 / 組合せ最適化 / 数理モデル |
|---|
| Research Abstract |
本研究では，選挙制度を評価する新しい定量分析法の開発と分析結果の発信により，次代へ向けての選挙制度デザインの議論を的確に支援することを目的としている．この目的を具現化する作業として(1)モデル化，(2)分析作業，(3)情報発信の3つを柱とした．この計画概要の下で平成23年度は，衆議院小選挙区制に対する申請者による既存研究を生かし，定量化分析に必要な基礎的データの収集及び整備を主に実施し，加えて，予備的な実験を行った．特に，22年10月に実施された国勢調査の速報値が23年2月に公告され小選挙区の再画定作業が行われる時期を迎えていることから，この再画定に関連する議論を支援する基礎データの整備と基礎的な実験を優先した．その結果，既存研究では得られなかった多くの興味深い知見につながる研究を展開することができた．例えば，2012年時点での小選挙区区割に係る環境は17年に比べ若干改善されている．しかし，許容する一票の格差の目安のひとつとされる2倍を下回る状況にはなっていないなどを定量的に明示することができた．また，それらの結果をまとめ関連する学会などでの研究発表や新聞(北海道新聞，平成23年4月2日)での意見発信などを通じ情報発信につながった．結果的に24年度以降に予定していた分析や情報発信の一部も実施につながったが，23年度に計画していた基盤データの整備が順調に進んだことにより，今後の本研究の展開の基礎がまずは形成されたと考える．
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の研究計画に沿い，衆議院小選挙区制に対する申請者による既存研究を生かし，22年実施の国勢調査の結果と最新の状況に対する定量分析に優先し取り組み，区割見直し議論を迅速に支援したため．具体的には，数理モデルの整備の部分で小選挙区制に特化し取組み，最新データでの最適区割導出により，主要な定量分析結果として小選挙区区割環境の最新状況を導出した．
|
| Strategy for Future Research Activity |
23年度に引き続き，24年度も衆議院小選挙区を題材にモデル構築と実験・分析を行う．特に，23年2月には審議会により新しい小選挙区割が勧告される予定であったが，いまだ勧告はなされていない小選挙区制の改革の議論を意識した分析結果の発信を重視したい．さらに，小選挙区の区割再画定が決定後には，その評価に関する定量分析に従事したい．また，小選挙区制改革の議論の中で注目を浴びると想定される地域のつながりと格差のバランス，区割形状の歪みと格差の関係などについて定量分析を行い，制度デザインの議論を支援したい．
|
| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度は小選挙区制に対する定量化分析の基礎データの整備と予備実験を行った．大学院生などの協力や所属組織からの研究支援の下で想定より安価かつ順調にデータ整備を進めることができた．24年度も定量化分析に必要な基礎データやソフトウェア・実験機器の整備[人件費・謝金・物品費を使用]を進め，政治学分野の専門家との議論の下でのモデル構築[旅費を使用]と今後の議論の基盤となる数値を導出する実験に取り組みたい[物品費，人件費・謝金を使用]．また，日本選挙学会での研究発表をはじめ，関連する学会での発表・参加を通じ，本研究での情報発信及び最新の定量化分析手法の情報収集を行いたい[旅費・人件費・謝礼を使用]．
|
Research Products
(2 results)
-
-
[Book] 数理工学辞典2011
Author(s)
茨木俊秀・片山徹・藤重悟 監修
Total Pages
597ページ（p.396-p.400を執筆）
Publisher
朝倉書店
