2012 Fiscal Year Research-status Report
選挙制度の評価またはデザインを支援する定量分析法の深化とその実装
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23510180
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
根本 俊男 文教大学, 情報学部, 教授 (40286026)
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Keywords | 一票の格差 / 選挙制度 / オペレーションズ・リサーチ / 政策科学 / 組合せ最適化 / 数理モデル / 投票区 / 投票所 |
Research Abstract |
本研究では,選挙制度を評価する新しい定量分析法の開発と分析結果の発信により,次代へ向けての選挙制度デザインの議論を的確に支援することを目的としている.この目的を具現化する作業として(1)モデル化,(2)分析作業,(3)情報発信の3つを柱とした.この計画概要の下で平成23年度は主に分析作業に必要な基盤データの整備と様々なモデル化の議論を行った.それを受けた平成24年度は,区割画定の見直し作業が行われた衆議院小選挙区制に対する定量化分析を主に実施した.その結果,平成24年度の区割り見直しの議論や衆議院選挙実施を機に再び注目を浴びた一票の格差に係る様々な議論を支援することができた.具体的には,実際の政策となった『0増5減』への限界格差提示と問題点の指摘,衆議院選挙制度見直し案の比較,議席数と格差の定量的な関係の明示などがあげられる.それらの結果は関連する学会(日本選挙学会,日本応用数理学会)などでの研究発表や研究論文などを通じ情報発信も行った.結果的に平成23年度に整備した基盤データとモデルが,平成24年度の分析作業に生かせ,計画通りの研究展開ができていると考える.一方,本研究で探求している区割のモデルから派生し,いくつかの市を題材に投票区の区割画定と投票所の配置についても取り組み,地方部と都市部での問題設定の違いを着目を始めた.また,選挙制度改革の議論に沿い,様々な改革案を評価する手法の開発の議論も始めている.平成25年度以降の研究計画の遂行につなげたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿い,平成23年度に準備した基盤データとモデルの整備を生かし,平成24年度に実施された様々な選挙制度改革の議論を的確に支援する定量化分析を計画通り実行したため.具体的には,衆議院小選挙区制の議論に関連し,最新データでの最適区割導出により,「0増5減」をはじめ主要な提案に対し定量分析を行い小選挙区区割環境の最新状況を定量的に導出し,研究発表・論文を通じ情報発信を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に引き続き,平成25年度も衆議院小選挙区に対する改革論議を支援するモデル構築と実験・分析を行う.区割の再画定が決する可能性があるが,その区割りの評価についての手法開発に取り組む.また区割再画定後も,定数削減と区割りの見直しの議論は続くと推定でき,科学的な知見の提示は重要と考える.また,本研究による区割りを扱う情報技術を応用にも着手し,選挙実施に必要な投票区・投票所の設定に係る問題やほかの選挙制度のモデル化への取り組みも開始したい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は小選挙区制に対する定量化分析の基礎データの整備と予備実験を行い,平成24年度は衆議院小選挙区制を対象に定量化分析を主に行った.大学院生などの協力や所属組織からの研究支援の下で順調にデータ整備と実験を進めることができた.平成25年度も定量化分析に必要な基礎データやソフトウェア・実験機器の整備[人件費・謝金・物品費を使用]を進め,政治学分野の専門家との議論の下でのモデル構築[旅費を使用]と今後の議論の基盤となる数値を導出する実験に取り組みたい[物品費,人件費・謝金を使用].また,日本選挙学会・日本OR学会・INFORMSをはじめ,関連する学会での発表・参加を通じ,本研究での情報発信及び最新の定量化分析手法の情報収集を行いたい[旅費・人件費・謝礼を使用].
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Research Products
(7 results)