2011 Fiscal Year Research-status Report
ヘルスケアにおける統計的データ解析に基づいたケアプラン作成支援
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23510186
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
鈴木 知道 東京理科大学, 理工学部, 教授 (50251369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 大伸 東京理科大学, 理工学部, 助教 (50548261)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | ヘルスケア / 高齢者介護 / ケアプラン / 品質管理 / 統計的データ解析 |
Research Abstract |
本研究課題では,統計的データ解析に基づいたケアプラン作成支援を目的としている.介護対象者にとって真に必要なケアプランを作成するフレームワークを導出することにより,ケアマネージャのケアプラン作成を支援し,高齢者の生活の質の向上のための仕組みづくりに貢献することである. 平成23年度における研究内容は,大きく分けて二つに分かれる.一つは,統計的データ解析の部分であり,高齢者の属性と提供されるべきケアとの関係を把握する部分である.そしてもう一つは,介護対象者にとって真に必要なケアプランを作成するフレームワークの要素を決定していくことである. 第一の統計的データ解析については,属性調査データ及びケア実施データから,それぞれ適切に解析用の変数の抽出を行った.得られた要素を,もう一度生データに戻って確認をし,この作業を反復することによってモデルおよび要素の精度を高めていった.そして,ケアプラン作成支援の最も重要な部分である,属性とケアの関係の把握を行った.第二のケアプラン作成支援のためのフレームワークの要素については,統計的データ解析によって明らかにされた属性とケアとの関係の把握に基づいて,介護対象者にとって真に必要なケアプランを作成するフレームワークの要素を決定した.特に,介護対象者の移動に着目したところに特徴があり,この着眼点を用いて,適切な要素が抽出できた. 得られた成果を2011年9月にベトナムで行われたANQ Congressで発表し,アジア各国の専門家との有益な議論を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の大きな二つの研究目的のうち,第一の統計的データ解析については,属性調査データ及びケア実施データから,それぞれ適切に解析用の変数の抽出を行った.得られた要素を,もう一度生データに戻って確認をし,この作業を反復することによってモデルおよび要素の精度を高めていった.この点に関しては,十分に研究目標を達成できたと判断できる. 第二のケアプラン作成支援のためのフレームワークの要素については,統計的データ解析によって明らかにされた属性とケアとの関係の把握に基づいて,介護対象者にとって真に必要なケアプランを作成するフレームワークの要素を決定した.特に,介護対象者の移動に着目したところに特徴があり,この着眼点を用いて,適切な要素が抽出できた. 以上のように要素を抽出できた点に関しては目標を達成できたと判断できるが,抽出した要素の妥当性の確認がまだ不十分である.このために,実際の施設を訪問し,介護の現場を生で見るとともに,ケアマネージャとの打ち合わせを行い,現実の問題点を洗い直す必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究目標は,ケアプランを作成するフレームワークを完成させることである.現在までの解析結果,そして平成23年度における,現在の施設での介護実施状況のヒアリング,新たに購入した解析システムを用いて統計解析を行った結果,そしてシステムに必要な要素の具体的なブレークダウン,を総合的に検討して作成支援システムを作成する. 作成する支援システムに必要な機能に,アセスメントデータを保存する機能がある.アセスメントデータは高齢者のプライベートな情報であるので,その管理には細心の注意を払う必要がある.したがってシステムのセキュリティに関しては強固なものが必要となる.システムの利用対象者は各自持ち場を持つケアマネージャが中心となるので,利用が容易になるようにインターネットから利用できるようにする. 翌平成25年度以降には,ケアプランを作成するフレームワークのプロトタイプを実際に稼働させる.プロトタイプを実際に使って問題点を洗い出し,改良を加えて,実際にサーバを外に対してオープンできるようにする.支援システムの使われ方を幅広く検討する必要が出てくるが,この段階においては,互いの国の介護の状況をふまえた議論を中心に,共同研究を行っていく予定である.特に高齢者社会への関心が高い,アメリカやスウェーデンの研究者との連携を強めていく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究目標は,ケアプランを作成するフレームワークを完成させることであるが,核となるフレームワークの原理に関しては,様々な考えやのアルゴリズムを検討する必要がある.また,平成23年度の研究成果の妥当性の確認が必要となる.抽出した変数や要素が適切であるかどうか,そしてフレームワークにどううまく活かしていくかを検討する.これらの解析や比較検討を行うにあたって,昨年度導入を先送りしていたワークステーションを購入し,解析を行う予定である.また,解析のための統計ソフトウェアパッケージがバージョンアップされたので,ライセンスのアップグレードをする予定である. 要素の妥当性の確認のために,専門家との打ち合わせを行う予定であるが,そのための旅費を予定通り計上する.そして,研究成果を発表するとともに,海外の研究者との議論を行うことは非常に重要である.このための国際学会への参加も予定通り行う.そのための出張旅費も計上する.
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