2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23510191
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
横山 真一郎 東京都市大学, 知識工学部, 教授 (50158375)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | QFD / RFP / ステークホルダー / 要求の構造化 / プロジェクトマネージャ / Fuzzy理論 / ゴール指向分析 / リスク分析 |
Research Abstract |
今年度はまず,インタビュー調査などからプロジェクトの失敗原因となる事柄について検討した.その結果,要件定義における情報の曖昧さ,計画の検討不足,それにプロジェクトリーダーのスキル不足やコミュニケーション不足が挙げられた.そこで,並行して以下の事柄について研究しそれぞれ成果を上げた.一つ目は,RFP(Request for Proposal)をもとにステークホルダーを考慮した要求の割り出し方法を検討した.具体的には,プロジェクトが達成すべき目標にステークホルダーを対応付けることで,システムに必要な要求項目を効率的に抽出する方法を検討した.さらに,品質機能展開(Quality Function Deployment)を用いて要求項目を実現機能に展開し機能ごとに要求項目の調整を行う方法を提案し,国際会議ProMAC2011(H23.12),およびプロジェクトマネジメント学会春季研究発表大会(H24.3)で報告した.二つ目は,計画段階において曖昧さを考慮した計画方法について検討し,ファジィ推論を用いた評価ルールを提案した.その際の評価要素として,予算と納期を用いて品質の総合評価の推論値を求めるものである.それにより,プロジェクト評価測定時点で必要な資源の投入度合いを検討することができる.また,計画段階において突発時の対応と考えた引き継ぎ事項に関して検討した.この「引き継ぎの研究」に関する提案は,プロジェクトマネジメント学会秋季研究発表大会(H23.9)で報告した.その他には,インタビュー結果を基にプロジェクトの規模や難易度とプロジェクトマネージャの性格などをマッチングさせる方法について試案を提案した.また,要件項目の洗い出し方法として,ゴール指向分析を用いて要求項目の抜け漏れをなくす方法についても検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の研究の目的は,「プロジェクトの成功確率を如何に高めるか」をテーマにして,コミュニケーションツールの観点からその方法論を検討することにある.そのために今年度の研究はまず,プロジェクトの推進状況あるいは問題点を整理して,計画段階における「要件定義の品質向上のための方法論」の開発に注力することにある.「研究実績概要」にも示したように,企業におけるプロジェクトマネジメントの問題点抽出のために,アンケート調査結果などの分析から問題となる事柄の共通性を見出すことができた.主な結果は(1)RFP(Request for Proposal)をもとにステークホルダーを考慮した要求の割り出し方法を検討した.(2)計画段階において曖昧さを考慮した計画方法について検討した.(3)計画段階において突発時の対応と考えた引き継ぎ事項に関して検討した.(4)プロジェクトの規模や難易度とプロジェクトリーダーの性格などをマッチングさせる方法を検討した.(5)ゴール指向分析を用いて要求項目の抜け漏れをなくす方法についても検討した.以上よりおおむね計画の通り進んでいると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
現在次の段階として,集めたデータを用いて,「プロジェクトのリスク評価のための方法論とその定量化」について検討し始めたところである.内容としては,計画段階において要求として抽出された項目を機能に変換し,システムの実装した場合にどのような問題が発生するか.どのようなリスクが考えられるかについて検討することが中心である.これらについても計画段階において検討する.そのためその段階までに集めたデータを用いてリスク分析を行う必要がある.今回は次のようにそのリスク分析手法と評価指標の開発を検討する.・信頼性解析手法(シミュレーション解析)を援用したリスク分析手法の開発・リスクの定量評価およびランク付けの提案
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度は震災の影響もあり企業との打ち合わせなどが十分行われなかった.そのため,インタビュー調査や研究会の開催などが年度後半からの開始となってしまった.そこで研究計画に沿って研究を実行するために,今年度は前年に予定していた文献収集やインタビューを含めたアンケート調査や発表会参加を引き続き予定している.昨年繰り越した金額はそれに充てる予定である.全体としては,次のような研究費の支出を考えている.・データ収集のための謝礼金や書物なども含む収集費用・解析ソフトやパソコンをはじめとしたデータ解析のためのインフラ整備費用・発表に伴う印刷費用とプレゼンテーション設備を充実させるための費用・得られた成果の発表を国内のみならず国際会議で発表するための費用
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