2012 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャルメディア時代のWebマーケティング技術に関する基礎的研究
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23510192
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
後藤 正幸 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40287967)
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Keywords | Webマーケティング / テキストマイニング / 情報推薦 / 協調フィルタリング / 経営工学 / 文書分類 / 予測モデル / ベイズモデル |
Research Abstract |
本研究では,情報化社会の到来と伴って劇的に変化を遂げた消費者行動に焦点を当て,ソーシャルメディア時代の企業行動立案を強力に支援するための情報分析手法の開発,並びに情報技術を最大限に活用したWebマーケティング技術を開発すると共に理論的評価を行うことを目的としている。平成24年度は、前年度の研究成果を受け、「テキスト分析に基づくマーケティング情報分析」と「推薦技術を活用したWebマーケティングのための統計モデルの検討」に加え、「ベイズモデルに基づく予測モデル」に焦点を当てて研究を行った。テキストデータ情報の分析技術では、ユーザレビューのようなテキストデータを自動分類する方法を検討すると共に、アイテムの紹介文データの自動評価法の提案を行った。これらの方法では、主としてテキストのような複雑な確率構造を表現できるような確率モデルを用い、高精度の分類が可能となる方法を示した。また、前年度に引き続き、経営工学分野におけるテキストデータの活用事例研究として、ECサイトで用いられるアイテム比較の機能とユーザによる自由記述の評価データの双方を考慮した商品推薦手法の提案を行い、実際のデータに対して適用してその評価を行った。一方、情報推薦の基礎的技術については、様々な確率モデルを用いた協調フィルタリングの方法について継続して研究を行い、精度の高い推薦アルゴリズムの提案を行った。一方、ベイズモデルに基づく予測モデルにおいては、電子的に蓄積される店舗データから予測来店客数を予測するための方法として、事後確率で統計モデルを重み付け平均化して予測に用いるBayesian Model Averagingを導入した方法を検討し、予測精度の向上が可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、①ソーシャルメディア時代の企業行動立案を強力に支援するための情報分析手法の開発,②情報技術を最大限に活用したWebマーケティング技術の開発と評価を目的としているが、本研究では、すでにそれらの基礎となる新たな分析技術やモデルの提案が得られており、その成果は国内学会や国際会議にて発表している。平成23年度の18件の国内学会発表と11件の国際会議での発表成果に加え、平成24年度は13件の国内学会発表と10件の国際会議発表を行った。特に、潜在クラスモデルと呼ばれる複雑な現象を表現可能な統計モデルをベースとし、いくつかの改良モデルの提案や新たな現実問題への適用などを行い、その成果が蓄積されつつある。また、協調フィルタリングの性能解析においても、様々な分析の結果、いくつかの性質が明らかとなっており、今後、研究成果としてまとめる予定である。 現在、これらの成果をベースとして、査読付き論文を投稿済みであり、成果発表の状況も良好と考えている。また、平成23年度の成果を投稿した学術論文のうち、すでに3件が論文査読を通過して採択されており、平成25年度中に発行される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、研究の成果をまとめ、公表に努めることを主眼におく。平成23年度、平成24年度の研究成果を踏まえ、さらに基礎研究の基盤を固めると共に、応用事例による実践的評価についても検討を進め、積極的な成果の発表を行う予定である。テキスト情報の分析技術や情報推薦アルゴリズムについては、ある程度の下地となる知見が得られており、その延長線上での研究を進めると共に、企業の具体事例についての適用を検討する予定である。特に、近年有効性が指摘されている潜在クラスを持つ統計モデルについて研究を進め、さらに優れた予測モデルを構築すると共に、その性能評価を行う。 また、企業の業務プロセスで得られる膨大なテキスト情報やECサイト上で得られる大規模なデータベース情報の分析技術について研究を進め、具体事例を用いた検証を行う予定である。現在、いくつかの企業で実際に蓄積されている実データを対象として、研究室内で研究チームを組んで、分析研究を進めており、定期的にフィードバックを行いながら、得られた知見を形式知化していく予定である。大規模な実データに対して、高度に張っていしている潜在クラスモデルやベイズ統計に基づく予測モデル、さらにはデータマイニングやパターン解析の分野で研究されている様々な先進的な予測モデルを適用し、改良を重ねることにより、実際の問題において有用な方法論の構築を目指す。 本年度は、研究の最終年度であることから、国内学会、国際会議での研究成果の発表に加え、積極的な学術論文誌への投稿を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
論文執筆のために必要となる参考文献や資料のための消耗品費を支出する必要がある。また、引き続きテキスト情報やデータベース上のビッグデータを対象とした分析技術の開発を行うため、その膨大な前処理や分析シミュレーションなど、研究遂行のための人的資源が必要である。そのための研究補助業務に対する謝金を支出する。また、順調に研究成果が出ているためその成果発表の場を作り、かつ研究成果の最先端を調査する目的から、国内外の学会に参加する。そのための研究旅費を支出する。また、論文掲載料や学会参加費といったその他費用を支出する。
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