2011 Fiscal Year Research-status Report
組織行動と組織の健全性診断システム実用化モデルの開発
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23510198
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小山 富士雄 東京工業大学, 大学マネジメントセンター, 特任教授 (50436565)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 組織の健全性診断 / リスク管理 / リスクセンス / 安全管理 |
Research Abstract |
平成20年度から3年間にわたり開発を進め、その有効性が確認された「組織の健全性自己診断システム」について実証を行い、その有効性を確認するとともに、さらに幅広い分野において適用の可能性について研究を進めた。平成23年度は化学産業及びその誘導品産業を中心に実証から本格施行に進めた。現在、数社がこのシステムを用いて自らの組織の診断に着手している。加えて、組織の自己診断にあたっては組織の構成員それぞれがその地位に応じて必要な環境・安全・リスク管理に関する知識・判断力・行動力を有することが求められるため、研究協力者とともに「リスクセンス検定」という手法を開発し試行を開始した。これまでこの研究の適用分野を製造業を中心に進めてきたが、医療分野や金融等の事務処理の分野への適用についても研究を進めるべく、この分野について情報収集や関係者との意見交換を開始した。加えて、福島原発事故について「組織の健全性自己診断システム」適用による減災の可能性についても研究を進めた。これらの研究成果は年2回の公開シンポジウムで公表し、多数の幅広い分野の参加者と意見交換をするとともにシステム改善についての提案をいただいた。参加者からはこのシステムの有効性について高く評価いただくとともに、実績の積み上げや適用分野の拡大への期待の声をいただいた。なお、研究成果は都度、資料として取りまとめシンポジウム参加者のみならず広く産業界やこの分野の研究者に配布し、ご意見をいただくこととしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究目的は組織自らが「組織の健全性自己診断システム」を実施することにより事故や不祥事の防止に貢献することにあり、数社の化学産業会社の協力を得て実施を始めた。また、自己診断できる知識と判断力を有する組織構成員の養成を目指して研究協力者とともに「リスクセンス検定」を開発し試行を開始した。この外の分野では医療関係者、金融関係者と問題点の摘出やこれらの組織に適合した診断システムの開発に着手した。また、研究成果の公表も予定通り3月と10月にシンポジウムを開催して高い評価を得ており本研究は順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は組織が自ら健全性を確保するために組織の構成員とともに自主的に取り組むための実用的なツールを開発・提供することにある。このためには製造業においては施行実績の増加や業種に適合した使いやすいシステム構築にある。これを、いろいろな分野の経験を有する研究協力者の助力を得て作業を進める。さらに、製造業の海外進出に対する支援ツールとして寄与することも念頭に置く。また、製造業以外の分野では医療や事務作業が多い金融分野を念頭に、同様な診断システムの開発構築を目指す。研究の成果はこれまで同様年2回の公開シンポジウムで公表のほか、平成25年度末には成果報告書をとりまとめ、この研究が広く社会に貢献することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に発生した次年度使用額347,255円については、平成23年3月10日に研究協力者等を招いて公開シンポジウムを開催した。これに関する謝金・交通費・資料作成費用等が当該年度中に経理処理は行ったものの実際の支払い(執行)が4月となったためによる。平成24年度は引き続き製造業での実施推進やリスクセンス検定の普及、さらには医療や事務部門の診断システム構築のための研究を研究協力者の協力を得て進める。このためには資料や書籍の購入等の物品費として200000円、情報収集や調査及び遠方からの有識者の公開シンポジウム出席のための旅費として200000円、専門家からの専門知識提供等の謝金として600000円、公開シンポジウムの会場使用料や関連費用として200000円合計1200000円の使用を計画している。
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