2012 Fiscal Year Research-status Report
廃棄物燃料に内在する細菌叢及びその機能別遺伝子とくん焼・有炎燃焼・爆発の因果関係
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23510211
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Research Institution | Oita National College of Technology |
Principal Investigator |
小西 忠司 大分工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (00225468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳴海 明 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (50100764)
山田 健太郎 大分大学, 学内共同利用施設等, 助教 (70458280)
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Keywords | ごみ固形燃焼 / 爆発事故解析 / 微生物叢 / スケールモデル / 水素産生 / ヒドロゲナーゼ / 機能別遺伝子 / 貯蔵保管安全 |
Research Abstract |
本研究は,廃棄物固形燃料の貯蔵・保管時に起こるくん焼・有炎燃焼・爆発の関連因子を,燃料に内在する細菌叢の分布および機能別遺伝子と関連づけ,従来の熱的特性に生物学的特性を加味した廃棄物燃料あるいはバイオマスの貯蔵・保管時における危険性評価および燃料化・貯留・搬送設備の火災安全対策に関する科学的データの提供と提言を目的としている. 本年度は,産地別に収集された廃棄物固形燃料の水素産生量に与える環境条件(温度,水分,pH)およびスケール(RDF量,容器容量)の影響を明らかにした.(1) RDFは製造地によってpHが違い,pHが強アルカリ性に保たれていても水分と温度によっては菌が活動する. 酸素の減少pHの低下が類似することからは好気性菌の活動が行われている.本研究の実験条件でRDFが培養される場合,酸素濃度の減少付近では好気性菌の活動がピークとなる. (2) 本実験において,含水率約27wt%のRDFの最高温度は100gの場合38.1℃,750gの場合51.6℃,1,500gの場合57.5℃を記録した.しかし,その後温度は上昇せずに停滞または低下する推移を示した.これらの温度上昇はRDF内部の微生物活動によるものであり,好気性菌の呼吸による生成熱だと考えられる.好気性菌による発酵熱の温度は約80℃に達する報告もあり,高温によってRDF内部で化学反応が起こり蓄熱による温度上昇を続け,自己発火する可能性も十分に考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度以降の研究計画・方法では,(1) バイアル瓶培養実験として,産地別固形燃料のくん焼・有炎燃焼・爆発の関連因子(温度上昇率,最高到達温度,水素発生量)を調べる.環境条件(酸素濃度,温度,水分,pH)を変化させた場合の細菌叢分布,機能別遺伝子分布の変化を調べる. (2) スケールモデル実験 環境条件および熱的条件が制御可能なスケールモデルの製作, 産地別固形燃料の貯蔵実験を行い,くん焼・有炎燃焼・爆発の関連因子および細菌叢分布,機能別遺伝子分布の変化を調べる. (3)因果関係と熱着火理論の検討,貯蔵・保管安全対策 くん焼・有炎燃焼・爆発の関連因子および細菌叢分布,機能別遺伝子分布の因果関係の明確にする.Frank-Kamenetskii熱着火理論に生物学的特性を加味した修正式を提案する..基礎実験データに基づいた廃棄物固形燃料あるいはバイオマスの貯蔵・保管安全対策を提案する. 現在,(1)が終了し,(2)の実験を進行中であり,おおむね順調に進展していると考えている. しかし,機能別遺伝子が十分に特定されておらず今後の課題として残っている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度以降の研究計画・方法にある (2) スケールモデル実験 環境条件および熱的条件が制御可能なスケールモデルの製作, 産地別固形燃料の貯蔵実験を行い,くん焼・有炎燃焼・爆発の関連因子および細菌叢分布,機能別遺伝子分布の変化を調べる. (3)因果関係と熱着火理論の検討,貯蔵・保管安全対策 くん焼・有炎燃焼・爆発の関連因子および細菌叢分布,機能別遺伝子分布の因果関係の明確にする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度以降の研究計画・方法にある (2) スケールモデル実験 装置製作および特にデータの長時間計測に伴う安全管理を含めた計測システムの購入,整備をする予定である.(3) 機能別遺伝子分布の因果関係の明確においてはリアルタイムPCRを用いた遺伝子発現の解析をするため試薬購入や遺伝子解析の外注等をする予定である.
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