2012 Fiscal Year Research-status Report
墜落災害防止のための可視化した安全教育支援ツールの開発
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23510213
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Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health, Japan |
Principal Investigator |
大幢 勝利 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 建設安全研究グループ, 上席研究員 (50358420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広兼 道幸 関西大学, 総合情報学部, 教授 (70268332)
北條 哲男 ものつくり大学, 技能工芸学部, 教授 (30348346)
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Keywords | 墜落 / AR / 安全教育 / 労働災害 |
Research Abstract |
墜落災害は建設業の中で最も死亡者数の多い災害であるが、本研究はその防止対策として、典型的墜落災害事例の体系化を行い、その情報に基づき、可視化した安全教育支援ツールの開発を行うことを目的とした。そのため、平成24年度は、平成23年度から引き続き公表されている労働災害データベースから墜落災害における典型的事例の抽出と作業内容の分類を行い、典型的災害事例の体系化図った。また、安全教育支援ツールの骨格となる、AR技術を利用した3次元仮想モデルによる可視化手法の構築やアクセシビリティの向上を図った。その結果、以下の成果を得た。 1.典型的災害事例の体系化:平成24年度は、公開されている最新のデータとして、平成21年に発生した休業4日以上の墜落による死傷災害1499件を分析した。その中で、突出して多い「木造家屋建築工事」 (361件)と 「鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事」(242件)について詳細に分析した。また、「墜落高さ」と「墜落した場所」、「墜落高さ」と「墜落時の動作」等のクロス集計や、その他の工事の災害発生状況についても分析を行い、典型的災害事例の体系化を図った。 2.AR技術による可視化手法の構築:AR技術による可視化手法を用いて、安全教育支援ツールを試作し、危険の少ない場所での試用等を実施した。 3.建設会社の安全担当者との議論:土木学会安全問題研究委員会等を通じ、建設会社の安全担当者と議論を行った。さらに、本研究成果の活用等、安全管理と情報について幅広く討論するため、安全工学シンポジウム2012においてオーガナイズドセッションを開催し、現場のニーズを把握した。 4.安全教育支援ツールのアクセシビリティの向上:安全教育支援ツールをスマートフォンで使用可能とする等、アクセシビリティの向上を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、(2)おおむね順調に進展していると考える。その理由を、平成24年度の実施計画に基づき述べると、以下のとおりである。 1.典型的災害事例の体系化:平成24年度は、公開されている最新のデータとして、平成21年に発生した休業4日以上の墜落による死傷災害を分析した。また、「墜落高さ」と「墜落した場所」、「墜落高さ」と「墜落時の動作」等のクロス集計を行い、平成23年度の成果と合わせ、予定通り典型的災害事例の体系化を図ることができた。 2.AR技術による可視化手法の構築:平成23年度に試作した安全教育支援ツールを改良し、大学の構内等、危険の少ない場所での試用等を実施した。その結果、本研究の目的となる安全教育支援ツールの可視化やその効果等が、予定通り確認できた。 3.建設会社の安全担当者との議論:本研究の成果等について、建設会社の安全担当者と議論を行うため、安全工学シンポジウム2012においてオーガナイズドセッションを開催し、現場のニーズを把握することができた。 4.安全教育支援ツールのアクセシビリティの向上:安全教育支援ツールをスマートフォンで使用可能とする等、アクセシビリティの向上を図ることができた。 以上により、本研究の目的である、典型的墜落災害事例の体系化を行い、その情報に基づき、AR技術を利用した可視化した安全教育支援ツールの開発を行うことについて、平成24年度はおおむね順調に進展することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はおおむね順調に進展しているため、当初の計画通り次の1~2について実施し、安全教育支援ツールを誰でも容易に利用できるためのアクセシビリティの向上を図るとともに、開発段階において、随時安全担当者や作業者からの意見聴取と実証を行いながら、ツールの改良を行っていく。 1.安全教育支援ツールのアクセシビリティの向上:安全教育支援ツールのウェブページ化等を試み、アクセシビリティの検証を行う。その際、安全教育の時間や場所などの自由度が増し、作業者が自ら学習する機会を提供することが可能となるよう、安全担当者や作業者が携帯端末等で容易にアクセスできるためのシステムを構築する。 2.安全担当者や作業者からの意見聴取:開発段階における安全教育支援ツールについて、実際に使用することになる安全担当者や作業者からの意見聴取や実証を行いながらツールの改良を行う。 成果については、学会等の研究発表や論文発表により随時公表して行くとともに、完成したツールについては現場への提供を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「収支状況報告書」の「次年度使用額」に繰越金が生じた理由は、データベース分析や可視化手法の構築にかかる経費を若干節減できたためであるが、平成25年度は成果の公表等により使用する予定である。以上を踏まえ、平成25年度の研究費の使用計画は以下の通りである。 1.物品費:作成した安全教育支援ツールの改良や実証のため、コンピュータソフトや計算機消耗品等を購入する。また、ツール改良のために必要となる、足場や脚立等の墜落防止機材を購入する。 2.旅費:国内外の建設現場における安全教育手法の調査を行うとともに、研究打合せや研究成果の公表(2013年安全工学に関するアジア-太平洋地域国際シンポジウム、2013年墜落防止と防護に関する国際会議等)を通じ、分析した典型的災害事例の公表や、作成した安全教育支援ツールの評価・意見交換を行い、ツールの有効性の向上を図るために使用する。 3.人件費・謝金:平成24年度までに実施した労働災害データベース分析は膨大な量のため、安全教育支援ツールで使用できるよう結果を整理する補助者への謝金として使用する。また、AR技術による可視化モデルの構築、安全教育支援ツールのウェブページ化や、アクセシビリティの検証を行うための補助者への謝金として使用する。 4.その他:学会等(2013年安全工学に関するアジア-太平洋地域国際シンポジウム、2013年墜落防止と防護に関する国際会議等)で成果を公表するため、論文投稿料等として使用する。
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Research Products
(10 results)