2011 Fiscal Year Research-status Report
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23510214
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Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health, Japan |
Principal Investigator |
大澤 敦 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 電気安全研究グループ, 上席研究員 (20358435)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 静電気障災害 / 帯電 / 除電 / 電気流体モデル / イオン / コロナ放電 / 品質管理 / 国際研究者交流(オーストラリア) |
Research Abstract |
本研究の目的は,これまでの科研費課題で開発した二次元電気流体モデル(帯電物体として導体を対象)を絶縁物に適用できるように発展させて,絶縁物のコロナ除電現象を理論的に明らかにすることである。絶縁物では,帯電電荷と反極性のイオンが到達した部分のみが除電されるため,導体の除電とは現象が大きく異なることが予測できる。実際の除電対象は絶縁物であるので,より現実的な除電現象を取り扱うことになる。また,除電器の性能評価の標準試験では,試験の簡便性から帯電物体として導体を用いている。つまり,帯電物体を導体として得られた結果を絶縁物の除電に適用する場合の妥当性を検討すべきであり,そのためには導体と絶縁物で除電現象の相違を明らかにする必要がある。当該年度は,計画どおり絶縁物の二次元電気流体モデルを開発し,その妥当性を検討した。さらに,24年度予定の導体と絶縁物の除電現象の違いを,二次元電気流体シミュレーションにより調査し,導体を用いる標準試験法の妥当性を検討している。実施事項は下記のとおりである。なお,現状調査および開発モデルの妥当性の検討には研究協力者の支援も得ている。1) 現状調査 除電器および除電技術の現状とその問題点を技術者を交えて調査した。改めて,除電現象の理解とその技術は経験的知識に依存しており,トラブルに対しても経験的に対応しているのが現状であり,絶縁物除電の理論的解明が期待されていることを認識した。2) 絶縁物除電モデリング 導体の除電で開発した,気流,正・負イオン流と電界を計算する,軸対称2次元電気流体モデルを絶縁物に適用できるように,電荷保存則に基づいた絶縁物表面電荷の除電モデルを開発した。さらに,導体と比較するため,導体の表面電荷を数値的に計算し,これを初期表面電荷密度分布とした。3) シミュレーション実施 導体と絶縁物の除電現象を,直流および交流除電器について比較した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画どおり縁物表面電荷密度の物理モデルの構築,二次元電気流体絶縁物除電モデルコードの開発,試行によるモデルの妥当性検討をした。さらに,24年度に実施する予定だった導体との比較のシミュレーションを先行して実施した。絶縁物の除電では,初期段階で逆帯電(除電しすぎの状態)が生じていることがわかった。この逆帯電という現象はトラブルの原因となりうるが,除電器性能試験に用いる導体の除電では現れないことから,この試験法の問題点の提起と適切な使用法を提案した。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度実施計画の導体との比較のシミュレーションは先行して実施した。23年度の現状調査の議論によって判明したトラブル・問題に対応する除電現象を模擬するシミュレーションを実施し,その原因を解明する研究を実施する。ここで実施する内容は,絶縁物の場合,一様分布,片面のみ帯電(表または裏側のみ),正・負両極性帯電など帯電分布が種々であり,この初期分布によっては十分に除電されないことがあるというトラブルが発生しているので,これらの初期帯電分布の除電現象をシミュレーションにより調査することである。さらに,導体と絶縁物の除電現象を比較した研究成果の発表(国内・国際会議および論文投稿)および研究協力者との議論のための会議も開催する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
種々の初期表面電荷分布の絶縁物除電のシミュレーションを実施するための諸費用と,さらに,導体と絶縁物の除電現象を比較した研究成果の発表(国内・国際会議および論文投稿)および研究協力者との議論のための会議(国際交流も含む)も開催する予定であるので,これらの費用に使用する。
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Research Products
(1 results)