2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23510218
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 誠也 東京大学, その他部局等, 名誉教授 (60011459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鴨川 仁 東京学芸大学, 教育学部, 助教 (00329111)
上嶋 誠 東京大学, 地震研究所, 准教授 (70242154)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / 地震 / ナチュラルタイム |
Research Abstract |
近年、時間は事象が起きたときにのみ進むとするNatural timeという新しい時間概念に基づいて臨界現象の時系列解析を行うと、システムが臨界点に達しているか否かを推定できることが示唆された(Varotsos et al., PRE, 2002)。すなわち、N個の事象をふくむ時系列では、k番目の事象はNatural time χk (χk = k / N) に起きたと記述され、その時系列が臨界状態に達した場合にはκ1とよばれる指標の値が0.07に収束するという。 指標κ1 は規格化された物理量Qk(例えば各事象のエネルギー)の重みを付したNatural time χk "重み付き時間"の概念から得られる値である。地震は臨界現象であるとの見地から、大地震発生前の地震発生時系列の解析を行いκ1が0.07となるときを推定すれば、大地震の直前予知が可能となる。本研究の目的は、上記の諸特性の一般性を検証し、その理論的基礎を明らかにすることにある。我々は、2011年度の成果として、κ1の値が臨界点接近にともなって0.07に収斂することを既知の臨界現象である強磁性体のIsing モデルや、自己組織化現象などについて実証することによってNatural time解析の理論的妥当性を示した(Varotsos et al., 2011)。ごく最近では、2011年東日本太平洋沖M9地震の前に著しいκ1の変動があった可能性を指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の重要な課題のひとつとしてk1が0.07になることを複数の物理モデルで示す学術論文を出版することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
Natural time概念はκ1 が0.07 に収束することによって臨界現象における臨界点の発生時を認定できることを既にいくつかの地震について示したので、ギリシャにおいては短期予知に有効であるとされている。我々が行った本邦の地震での解析では2000年の伊豆群発地震では成功をおさめたが、あらゆる大地震には有効ではなかった。これについては臨界点発生認定の数学的記述に問題があるとも考えられるため、パラメーターチューニングの手法によってその原因を探る。特に2011年東日本太平洋沖M9地震などの前に著しいκ1の変動の可能性については、再検討の必要性が大きいので、鋭意、検討をすすめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
共同研究者のグループとの研究討論を行うための旅費および計算等で使用するコンピューターなどの備品を購入する。
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Research Products
(3 results)