2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23510221
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐藤 博明 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (60019495)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 桂子 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20192544)
|
Keywords | 噴火様式 / 岩石組織 / 斜長石 / マグマ含水量 / 粘性係数 / 溶融実験 / マグマドレインバック / 霧島火山 |
Research Abstract |
霧島火山2011年噴出物について,初期サブプリニー式噴出物と,引き続いた火口埋積溶岩の分析を行い,それらマグマの粘性係数を推定し,溶岩のドレインバックの可能性を検討し,その結果を学会発表し,Earth, Planets and Space誌の霧島新燃岳特集号に投稿し,現在修正中である.安山岩溶岩のドレインバックの例は少ないが,今回の溶岩では脱ガス・結晶作用により粘性係数が6桁以上上昇したため,直径10m程度の火道からのドレインバックは生じたとしても僅かなものであることが推定された.実際には観察からドレインバックは認められていないが,これは噴火後山体の膨張が1年余り継続してマグマ溜りへマグマが再供給され火道溶岩が支えられた可能性もある. イタリヤブルカネロ火山のショショナイトについて,粘性係数の温度変化を計測した結果,この溶岩ではリキダスに単斜輝石が晶出しその長い針状の結晶形態が低い結晶量でも粘性係数に大きな影響を与える事が示された.この結果はJournal of Mineralogical and Petrological Sciencesに受理され,2013年8月号に印刷の予定である. 富士火山の噴火様式と岩石組織の関係について,継続してより古い時代の噴出物も併せて分析を行った.斜長石ーメルトマグマ含水量計(Lange et al.2009)を用いて噴火直前の斑晶斜長石晶出時のマグマ含水量を推定し,爆発的噴火の場合は2wt%以上の含水量であるが,溶岩流出の場合は,2%以上の場合(青沢溶岩等)と1%以下(貞観青木が原溶岩,剣丸尾溶岩)の2通りの場合があることが示され,マグマ含水量以外の要素により噴火様式が左右されることが示唆された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
霧島火山については,予定通り分析結果を論文にまとめ投稿した.粘性係数実験については,ブルカネロ火山のショショナイトについて論文公表にこぎつけたが,海嶺玄武岩についての実験結果の取りまとめ,論文執筆が遅れている. 富士火山については対象範囲を広げて,予想外の結果が得られており,その評価が十分に行えないままの状況である.いったん,この方向からの検討結果は纏めるようにしたいと思うが,明快な結論になっておらないため筆が滞っている.
|
Strategy for Future Research Activity |
霧島火山については,ドレインバックの問題については7月のIAVCEI鹿児島大会で発表する.流体力学モデルを更新したいと考えている.その他に斜長石組成について興味深い分析結果が得られたのでその内容を5月の地惑連合大会で公表し論文として取りまとめたい. 粘性実験については,海嶺玄武岩についての結果を纏めて論文投稿したい. 富士火山についてはこれまでの結果を纏めて論文投稿したい.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
霧島火山試料について全岩化学組成分析を外注する. 学会(5月地惑連合大会,7月IAVCEI,10月火山学会)で内容を発表する. 富士火山について追加分析を行うためEPMA使用料,消耗品を必要とする.
|
Research Products
(2 results)