2011 Fiscal Year Research-status Report
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23510223
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
正木 和明 愛知工業大学, 工学部, 教授 (90078915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入倉 孝次郎 愛知工業大学, 工学部, 教授 (10027253)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 地震 / 自然現象観測・予測 / 防災 / 強震動 / 巨大地震 / 東北地方太平洋沖地震 / 震源インバージョン / 経験的グリーン関数 |
Research Abstract |
(テーマ1)2011年東北地方太平洋沖地震(M9)の観測記録と経験的グリーン関数法で計算された合成波形との比較から、この地震の強震動を生成した短周期震源モデルを構築した。強震動生成域(アスペリティ)は5つと推定され、これらは岩手県から茨城県の海岸に沿う震源よりも陸側の地域に存在することがわかった。強震動生成域は、津波や地殻変動など長周期のデータから推定される大きなすべり域である日本海溝付近(すなわち震源よりも沖側)とは異なることを明らかにした。強震動生成域は、地震調査研究推進本部による長期評価の評価対象領域の区分け(セグメント)と整合的であった。 (テーマ2)国土地理院が提供する数値地図(標高データ)と防災科学研究所が提供する深部地盤構造データを用いて、強震動シミュレーションのための3次元地下構造モデルの構築を実施した。モデル化に際しては、地表面における微地形を取り入れ、かつ、B-スプラインによる計算幾何学によるアルゴリズムを用いている。構築した3次元地下構造モデルと有限要素法による2009年駿河湾の地震(Mj6.5)の強震動シミュレーションを行った結果、シミュレーション結果と観測記録との整合性は概ね調和的であり、3次元地下構造モデルの構築方法が妥当であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(テーマ1)強震動予測に不可欠な震源特性の評価のうち、M9の超巨大地震における短周期の震源特性を経験的グリーン関数法を用いて解明できていること、特に、これまでにこの規模の巨大地震のデータが少なく十分な解析がされていなかった状況や、同規模と想定される東海・東南海地震に資する研究成果が得られていることから、研究は概ね順調に進んでいる。しかしながら、周期依存を考慮した震源インバージョンは実施されておらず、24年度に実施する。(テーマ2)強震動シミュレーションに必要不可欠な、3次元地下構造モデルの構築においては、概ねモデル化の方法を確立出来た。この方法を用いた2009年駿河湾の地震(Mj6.5)の強震動シミュレーションや三河地域における中小地震のシミュレーションにおいて、シミュレーション結果が観測記録と概ね調和的であることを確認し、方法が妥当であることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
2011年東北地方太平洋沖地震を含めた、最近の国内外の被害地震の強震動記録を用いて、周波数依存を考慮した震源インバージョンを実施し、断層破壊過程の解明し、要素地震である中小地震と強地震との関係性を定量的に評価する。最近の被害地震[2007年新潟県中越沖地震、2008年岩手県内陸地震、 2011年東北地方太平洋沖地震など]を用いて強震動シミュレーションを通して、地表面における微地形が強震動特性に与える影響についての評価を行う。更に膨大な計算機能力を必要とせず、かつ高精度な「経験的グリーン関数法」と「3次元有限要素法」によるハイブリッド手法の構築を行い、手法の妥当性および有用性の確認を検討した後に、実際に想定東海・東南海地震の強震動予測を行うことによって、非常に強い揺れが予想される愛知県三河地域における強震動特性を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究経費は総額840千円、その内訳は旅費600千円、消耗品200千円、その他40千円を計画している。これまでの研究成果の発表のため、国内外の旅費として600千円程度を計画している。旅費は国内外におけるこれまでの研究成果の発表と会議出席のためのものである。消耗品はUSBメモリー、印刷用カートリッジインク、印画紙、印刷用紙などに必要である。その他は、会議費および印刷費に用いられる。
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Research Products
(7 results)