2011 Fiscal Year Research-status Report
強風被害拡大影響因子のリアルタイム情報を学習するモデルの構築と住家強風危険度判定
Project/Area Number |
23510227
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
友清 衣利子 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 助教 (30346829)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 強風災害 / 建築構造 / 被害推定 / 統計分析 / 影響因子 / リアルタイム予測 |
Research Abstract |
住家などの強風被害には、風速だけでなく建物の維持管理や住民の防災意識などの様々な要因が関連しており、実際に対応した被害推定は容易ではない。被害が広域に及ぶ強風被害の経済的社会的影響は大きいが、住家耐震性能の向上などで被害件数そのものは年々減少しており、実情を反映するためには時代に応じて被害推定モデルを作成する必要がある。本研究では被害拡大影響因子を最新情報で更新できる被害推定モデルを構築し、被害をより正確に推定することを目的とする。平成23年度は下記の手順で研究を行った。1.台風の強風による住家被害拡大影響因子情報の整理と被害率推定モデルの作成。1)経路が似た1991年台風19号,1999年台風18号及び2004年台風18号による自治体単位での住家被害率情報を整理した。2)気象官署及びアメダス、九州内の広域高密度風観測システムでの記録を整理し、強風時の自治体での代表風速をまとめた。3)台風の移動速度情報を整理し、台風の強風特性との関連を調べた。4)住宅・土地統計調査及び住宅金融支援機構による調査資料をもとに住家の構造種別、屋根形状などの構造情報を整理した。5)1)~4)で整理した強風被害拡大影響因子情報をもとに回帰分析で住家被害率の推定モデルを作成した。2.被害率推定モデルに組み込まれた影響因子の経年変化情報を整理。1)1991年、1999年、2004年に被害をもたらした3つの台風被害を分析した。2)被害発生時点での自治体ごとの建物の構造種別、新築住家着工数などの影響因子の経年変化情報をまとめた。3.強風被害調査及び強風発生要因分析の実施。1)福岡市で発生した竜巻による強風被害調査を実施し、被災建物情報を整理した。2)地表面粗度などの将来変化の影響を検討するため、2004年台風23号による強風の地形による増速効果に着目し、数値流体計算による基礎分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は顕著な強風被害がほとんど発生しなかったため、新たな強風被害情報の大幅な更新はできなかったが、当初の計画通り、過去の強風被害情報及び被害拡大影響因子の基礎資料の整理を行うことができた。また、次年度に研究予定としている地形や地表面粗度の将来の変化の影響を検討するための、数値流体計算による基礎分析に着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に整理した強風被害拡大影響因子情報をもとに因子の時間変化情報の組み込み、モデルの更新作業を進める。1.地形や土地利用情報の今後の変化を組み込んだ数値流体計算の実施。2.気候変動に伴う台風特性変化の分析。引き続き、強風被害が発生した場合には、迅速かつ詳細な被害調査を行い、強風被害情報の更新を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
将来の都市の粗度変化や局所地形変化に伴う風況の数値流体解析を行うための市販の数値流体解析ソフトおよび気候変動に伴う台風の特性を分析するために、気象庁で公表されている気象資料を購入予定である。
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