2013 Fiscal Year Annual Research Report
強風被害拡大影響因子のリアルタイム情報を学習するモデルの構築と住家強風危険度判定
Project/Area Number |
23510227
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
友清 衣利子 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 助教 (30346829)
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Keywords | 強風災害 / 建築構造 / 被害推定 / 統計分析 / 影響因子 |
Research Abstract |
台風などの強風による住家被害の発生には,風速の大きさだけでなく屋根形状や構造形式などの構造物の特性,建物の維持管理や住民の防災意識などの様々な要因が関連する。しかし,被害範囲が広域に及ぶ強風災害では,被害事例の悉皆調査を行うことが難しく,被害建物の状態などの定量的な分析はほとんど行われていない。また,強風被害の経済的損失は甚大であるものの,住家耐震性能の向上などで被害件数そのものは年々減少しており,より精確な被害推定のためには時代に応じてモデルを更新する必要がある。本研究では,被害拡大影響因子の時間的変化を定量的に分析し,最新情報で更新できる被害推定モデルを構築することで,強風被害の推定確度の向上を目的とする。 最終年度である平成25年度は,因子分析を用いて強風被害拡大に影響を及ぼすさまざまな因子を分類し,影響因子の特性を把握するとともに,それらの因子の地域特性と時間変化を分析し,被害推定モデルの更新と推定確度の向上を試みた。 その結果,(1)住家被害率を推定する際のばらつきの要因となる強風被害拡大影響因子は「台風の被災経験」,「積雪への対応」,「都会度」,「日常的な強風環境」の4つに大きく分類することができ,地域ごとにその特性は異なった。(2)日常的に風が強く、新築住家の占める割合が大きい地域では,回帰分析で推定される強風時の住家被害率に比べて,実際の被害率が小さくなった。(3)台風によって被災する前30年間の平均的な風速と新築住家着工数の影響を考慮して推定した住家被害率は,最大瞬間風速値のみを用いた場合に比べて実際の被害により対応することが分かった。 本研究で検討した以外にも多くの被害拡大影響因子が考えられるが,さまざまな要因の特性を分類することで被害発生地域や時代の特徴を定量的に把握することが可能となり,その地域や時代に適した被害推定式を提案できることがわかった。
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