2012 Fiscal Year Research-status Report
アクティブ制御乱流風洞を用いた大規模広域火災時の効果的な空中消火方法に関する研究
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23510231
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Research Institution | Oita National College of Technology |
Principal Investigator |
菊川 裕規 大分工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (70321528)
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Keywords | 大規模火災 / 広域火災 / 防災 / 減災 / 空中消火 / 相似模型 / 風洞実験 |
Research Abstract |
阪神・淡路大震災では,地震時の交通混乱や水利不足のため消防効果を発揮できず広域火災に発展した.このような状況下において空中からの消火活動は非常に有効な消火手段である.しかしながら気象条件や地形特性などの自然環境,火災規模や延焼速度などの火災状況に対応した最適な散布方法や効果的な消火方法などは未だ明確にされていない.これまで申請者は,複数の送風機をアクティブに制御し種々の気象条件を再現できる形式のアクティブ制御乱流風洞の開発を行ってきた.そこで,本風洞を用いて種々の気象条件に対する最適な空中消火方法の基礎資料を提供できるものと考え本研究に着手した.実機を用いた実大規模実験が数回行われ基礎データが得られたが,更なるデータを得るためには広大な場所や莫大な予算を必要とするため,以後実大規模実験は行われていない.そこで本研究では,実規模実験より容易にしかも同等の結果が得られる小規模な模型装置を提案し,大規模広域火災時の効果的な空中消火方法について提案することが目的である. これまで,模型ヘリコプターを用いたダウンウォッシュ中における投下物の挙動について支配されている物理法則を明らかにし,実規模実験との相似性を明らかにした.また,空中投下水が地表面に落下した際の衝撃度について,模型実験による相似法則の検証を行い,衝撃度の緩和方法について検討した.明らかとなった相似法則に基づいて模型を製作し,火災を模擬した火炎中に空中より水を投下することで空中消火効果向上および延焼防止効果向上のための効果的な空中消火方法を提案する. 相似法則に基づいて模擬家屋を製作して燃焼させ,空中投下水の散布水量,投下回数,投下間隔等を変化させて効果的な空中消火の条件を求めた結果,1回あたりの散布水量を増やすことが最も効果的であることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
阪神淡路大震災のような大規模な市街地広域火災では,消防水利の不足が予測されるため,消防ヘリコプター等による空中消火に期待が寄せられている.しかし,消防ヘリコプターで搬送できる水量は限られており,空中消火の効果に限界があることが予想される.これまでに実機のヘリコプターを用いた実規模実験が行われてきたが,頻繁に行うことは困難である.そこで本研究では,相似模型を用いて効果的な空中消火方法を提案することを目的とする. これまでの研究成果で明らかとなった実規模実験の相似法則に基づいて模擬家屋を製作し,燃焼させて温度変化と燃焼過程を把握するとともに,空中投下水の散布水量,投下回数,投下間隔等を変化させたときの効果的な空中消火方法について検討した. 本年度は木材クリブを用いた単体の模擬家屋について,現有のアクティブ制御乱流風洞を用いて自然風,特に強風下での火災を想定した気象条件の際に,効果的な空中消火方法および延焼阻止効果の向上について検討した.これまで明らかとなった実規模実験との相似法則に基づいて,木材クリブを用いて単体の模擬家屋を製作し,強風下において模擬家屋を燃焼させて温度変化と燃焼過程を把握した.次に実規模実験にて得られたデータを基に,空中投下水の散布水量,投下回数,投下間隔等を変化させ,効果的な空中消火方法の検討を行った.その結果,強風下においても無風状態と同様に,1回あたりの散布水量を増やすことが最も効果的であることが明らかとなった.以上は本年度に実施予定していた研究計画に従って研究遂行を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は多数の模擬家屋により,住宅密集地の市街地を再現し,市街地密度と延焼速度の関係と空中消火による効果的な消火方法と延焼阻止方法について検討する.まず,住宅密集地の市街地を再現するための予備実験として,相似模型の縮尺比を変化させたときに,単体で行っていた燃焼実験と同様の燃焼状態が再現できるか,空中消火効果の再現が可能であるか明らかにする.縮尺比を大きくして模型単体の大きさが小さくなると,実規模実験と同様の燃焼状態や空中消火効果の再現が困難であること予想されるため,これまでの延長として単体と同様の縮尺比で模型を多数配置することで市街地として拡張することには限界があると考えられる.そこで,新たなアイデアを用いて市街地模型の製作を試みる.新たな市街地模型を用いて,単体で行っていたこれまでと同様の燃焼実験および空中消火効果の再現を試みた後に,効果的な消火方法と延焼阻止方法について検討する. 平成26年度は多数の模擬家屋を用いて,住宅密集地における強風下での火災を想定して,効果的な空中消火方法および延焼阻止方法について検討する.住宅密集度と強風の状態からどの地域に空中消火を行えば効果的に広域火災が鎮火できるのか,延焼を防止できるのか検討する.また,研究が当初計画どおりに進まない場合の対応として,下記に示す研究協力者へ適宜相談の上で対応を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は多数の模擬家屋により,住宅密集地の市街地を再現し,市街地密度と延焼速度の関係と空中消火による効果的な消火方法と延焼阻止方法について検討する.そのための予備実験として,木材クリブを用いて相似模型の縮尺比を変化させたときに,単体で行っていた燃焼実験と同様の燃焼状態が再現できるか,空中消火効果の再現が可能であるか明らかにする.そこで,模擬家屋の模型製作費として10万円を要し,模擬家屋を燃焼させるための燃料費として5万円を要する. さらに,木材クリブを用いた単体の相似模型を多数配置することで市街地を再現する模型では実規模現象との相似性が確保できない可能性があるため,新たなアイデアを用いて市街地模型の製作を試みる.新たな市街地模型を用いて,単体で行っていたこれまでと同様の燃焼実験および空中消火効果の再現を試みた後に,効果的な消火方法と延焼阻止方法について検討する.そこで,市街地模型製作費として20万円を要する. また,平成23年度に購入した赤外線サーモグラフィーで記録すると同時に,熱電対を用いて多点同時に温度変化の測定を行う.そこで,熱電対購入費として10万円を要し,記録したデータを記録するためのデータ保存用メモリ購入費として5万円を要する.
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Research Products
(2 results)