2012 Fiscal Year Research-status Report
共生遺伝子群最小セットの同定を目指すミヤコグサ根粒菌共生アイランドの最小化
Project/Area Number |
23510235
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
佐伯 和彦 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (40201511)
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Keywords | 植物微生物相互作用 / 共生 / 窒素固定 / 遺伝子水平伝搬 |
Research Abstract |
根粒菌とマメ科植物が営む窒素固定共生は、相利共生の代表的な例として知られている。共根粒菌ゲノムは、主ゲノムに可動性の共生遺伝子クラスター(アイランドまたはプラスミドに座乗)が加わって成立している。しかし、共生に必要な遺伝子の最小セットの実体は未だ未解明の課題である。本年度は、ミヤコグサ根粒菌の共生アイランドについて、以下の項目を実施した。 1)欠失アリル組み込み用ベクターの作製:根粒菌内では複製不可能なpUC oriを持つプラスミド上に、マルチクローニングサイトを挟んでホーミングエンドヌクレアーゼI-SceIの認識部位、接合導入用のoriTならびにカナマイシン耐性遺伝子を配置した基本ベクターの改良を行った。すなわち、偽耐性株を生じがちなカナマイシン耐性に替えて、スペクチノマイシン耐性遺伝子を持つベクターを作製した。 2)根粒菌内で人工制御可能な発現ベクターの開発:広域宿主ベクターpBBR1の複製起点、RK2由来のoriT、中程度の転写能を持つプロモーターの下流にlacIとクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子、さらに強力な転写能を持つ人工プロモーターを2つのlacO配列で挟んだものの下流に、GFP遺伝子あるいはマルチクローニングサイト、これとは別にcatのコード領域を連続して配置したものを持つベクターについて、IPTGの添加による根粒菌内での転写制御を確認した。並行して、配列特異的リコンビナーゼ遺伝子flpを発現する派生ベクターを作製した。 3)共生アイランド最小化のために欠失領域デザイン:ミヤコグサ根粒菌NZP2037株の共生アイランド配列を決定し、配列が既知のMAFF303099とR7Aのものとの比較からコア部分を推定した。並行して、ミヤコグサ根粒菌の野生系統4株の次世代シーケンサー解析を行い、共生アイランドとそれ以外の部分の類似性と多様性を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施中の3項目は、計画通りのものと若干の遅れのあるもの、逆に、予定より進行しているものが有り、全体としてほぼ計画したレベルにあると判断している。 1)欠失アリル組み込み用ベクターの作製:基本ベクターの改良により、ミヤコグサ根粒菌ゲノム内への組込効率を向上させた。ほぼ計画通りに進行している。 2)根粒菌内で人工制御可能な発現ベクターの開発:発現ベクターを実体化し、根粒菌内でのIPTGによる発現制御を確認できた。このベクターの温度感受性化については現在も進行中で、やや遅れが生じている。但し、flp遺伝子の発現を行いうる様になり、実用上問題は少ない。 3)共生アイランド最小化のために欠失領域デザイン:ミヤコグサ根粒菌3株の共生アイランド配列のアノーテーションによりコア遺伝子群をほぼ同定できた。ミヤコグサ根粒菌の野生系統4株のゲノムの次世代シーケンサー解析により、ゲノム全体の多様性と共生アイランド内の非コア領域の対応付けを行うことができた点は、計画よりも早い進行である。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度に引き続き、以下の1)~3)を実施し、4)を進行させる。 1)欠失アリル組み込み用ベクターの作製:3)の欠失領域デザインに基づき、PCRにより欠失プラットフォーム配列を増幅してクローン化し、共生アイランド最小化に必要な欠失アリル組込プラスミドを順次作製する。二重鎖切断とその修復が行われたことのPositiveな指標として、グラム陰性菌にショ糖感受性を付与するレバンスクラーゼ遺伝子sacBの利用を試みる。 2)I-SceI遺伝子発現用温度感受性ベクター構築:プロモーターを挟むlacOの距離を変えた発現ベクター派生物をシリーズで作製し、IPTG添加時にI-SceIあるいはFlpを発現させる。これにより、欠失プラットフォーム配列を組み込んだゲノムにおいて、二重鎖切断あるいはFRT配列特異的な括り切りを行う。 3)共生アイランド最小化のために欠失領域デザイン:共生アイランド内の非コア領域のボーダー6箇所に、欠失プラットフォーム配列を組み込むためのPCRプライマーをデザインする。 4)最小アイランドの実体化:1)~3)の成果に基づき、共生アイランドの部分欠失株の作製を開始する。また、欠失株をミヤコグサに感染させて、共生能を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究経費に残額が生じた理由は、最小アイランドの実体化での共生成立・維持経過を免疫化学的に観察するための抗体作製を現状で業者委託中であること、また、受理済みの論文の掲載費用が未払いであること等によっている。今後の支払いを考慮すると、予算執行はほぼ当初予定通りである。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Commonalities and Differences among Symbiosis Islands of Three Mesorhizobium loti Strains2013
Author(s)
Kasai-Maita, H, Hirakawa H, Nakamura Y, Kaneko, T, Miki K, Maruya J, Okazaki S, Tabata S, Saeki K and Sato S
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Journal Title
Microbes and Environments
Volume: 28
Pages: 275-278
DOI
Peer Reviewed
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