2013 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア遺伝子転移を利用した重複遺伝子のゲノム内再編成に関する研究
Project/Area Number |
23510236
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
久保 中央 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (60347440)
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Keywords | 植物ミトコンドリア / 遺伝子転移 |
Research Abstract |
本研究の目的は、核へ転移した植物ミトコンドリアのリボソームタンパク質遺伝子の遺伝子重複に関するゲノムレベルでの知見を得ることである。本年度は、RT-PCRによって遺伝子発現を確認すると共に、特異抗体を作製・購入して遺伝子産物の細胞内局在をウェスタン解析によって調査した。 cDNAデータベースの解析から、リボソームタンパク質とその下流に位置する糖代謝酵素遺伝子が共転写されていることが推定された。全ゲノムが決定されている植物についてデータベース検索を行ったところ、このような構造は、進化的に離れた複数の被子植物種に分布していた。一方、アブラナ科植物にはこのような構造は存在せず、リボソームタンパク質が単独で存在していた。このことから、アブラナ科植物が他植物から分岐した後に本構造が二次的に消失したと推定された。RT-PCRで転写産物を解析したところ、リボソームタンパク質と遺伝子糖代謝酵素遺伝子の融合が実験的に確認された。糖代謝酵素に対する抗体を用いてミトコンドリア画分に対してウェスタン解析を行ったところ、推定アミノ酸配列から予想される分子量よりも約10 kDaサイズの小さいシグナルが検出された。このことから、細胞質で翻訳された遺伝子産物がミトコンドリアへ輸送された後にプロセシングを受ける可能性が示唆された。
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