2013 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアDNAコピー数による呼吸鎖複合体タンパク質の同時発現制御機構の解明
Project/Area Number |
23510237
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
凌 楓 独立行政法人理化学研究所, 吉田化学遺伝学研究室, 専任研究員 (70281665)
|
Keywords | 出芽酵母 / コンカテマー / DNA二本鎖切断 / 呼吸鎖複合体 / ミトコンドリア / DNA組換え / ローリングサークル型DNA複製 / ミトコンドリアヌクレアーゼ |
Research Abstract |
相同組換えがDNA二重鎖切断を修復する。出芽酵母において活性酸素種(ROS)によるミトコンドリアDNA(mtDNA)の酸化損傷を除去修復酵素Ntg1が認識し複製開始点(ori5)領域での二重鎖切断を導入する。Ntg1と相同DNA対合促進酵素Mhr1の働きによって開始されるローリングサーク型複製はミトコンドリアゲノムの均質化と維持に寄与するだけではなく、ミトコンドリア融合に伴う呼吸鎖複合体の解離で生じたROSによって活性化されることでmtDNAのコピー数を増加する。このmtDNAのコピー数増加がmtDNAにコードされる呼吸鎖サブユニットの新規合成を促進することで、呼吸鎖複合体を構成する成分の品質管理にも積極的な役割を果たす。しかし、Mhr1による相同DNA対合後、mtDNAの複製か組換えのどちらかへ進行する経路の制御仕組みが明らかではない。今年度は、核遺伝子Din7によってコードされるミトコンドリアヌクレアーゼが5’-エキソデオキシリボヌクレアーゼ活性を持つことと、ori5において適量のROSによって促進されるmtDNAの複製と組換えの両方に必要であることを明らかにした。また、Din7の単独過剰発現がori5での二重切断を増加することでMhr1を介したmtDNA複製を促進するが、ori5領域の欠失による呼吸機能喪失の細胞の増加を招いたことを観察した。さらにMhr1を同時発現させると、相同組換えが促進されたことでori5での二重切断が修復され、環状多量体が顕著に生成することを見出した。これらの結果から、Din7とMhr1の相対的活性のレベルが相同対合の後、複製か、相同組換えによる二重鎖切断修復のどちらヘ進むかを決定することが示唆された。この仕組みが酵母細胞において種々のストレスに応答して核遺伝子とmtDNAによってコードされる呼吸鎖複合体タンパク質の同時発現制御にも中心的な役割を果たすと考えている。
|
Research Products
(2 results)