2013 Fiscal Year Annual Research Report
比較ゲノム解析による南極線虫の乾燥、凍結耐性遺伝子の探索
Project/Area Number |
23510239
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Research Institution | 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(新領域融合研究センター及びライフサイ |
Principal Investigator |
鹿児島 浩 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(新領域融合研究センター及びライフサイ, 新領域融合研究センター, プロジェクト特任研究員 (00550063)
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Keywords | 比較ゲノム / 極限環境 / 乾燥耐性 / 凍結耐性 / 線形動物 / 緩歩動物 / 南極 / 国際情報交換(ニュージーランド、英国) |
Research Abstract |
研究代表者は、体内の水分の完全な喪失や細胞内の凍結に耐性を持つ南極線虫Panagrolaimus davidiの持つ乾燥・凍結耐性遺伝子の同定を目標として研究を進め、研究助成期間に以下の成果を得た。 1) 南極線虫P. davidiの転写産物解析: 研究代表者が解析したP. davidiのcDNAライブラリの6万3千配列に加え、共同研究者である英国南極研究所のM. Thorne博士、ニュージーランド、オタゴ大学のD. Wharton博士らによる大規模RNA解析、ゲノム解析によって得た、29 Gbの転写物配列、および37 Gbのゲノム配列を元にして、26,413種類の遺伝子を同定した。これらの中に乾燥耐性の候補遺伝子であるLEA、凍結耐性の候補遺伝子であるAFP、ストレス耐性に重要な複数のトレハロース代謝酵素、分子シャペロン、抗酸化酵素、さらにこの線虫の持つ特殊な能力である耐凍結性乾燥に重要な役割を果たすアクアポーリンなどの遺伝子を同定した。本研究の成果は国際誌PLoS ONEに投稿し、掲載受諾の連絡を受けた(改訂稿の作成中)。現在、さらにこれらのデータを使って、耐凍結性乾燥についての論文の第一稿を作成した。本論文も必ず今年度中の発表を行う。 2) LEA蛋白質のin vitro/in vivo解析:上記のcDNA配列解析により見いだされた乾燥耐性の候補遺伝子LEAは14個の遺伝子からなる大きな遺伝子ファミリーを形成していた。これらの14種類のLEAファミリーの全てについて大腸菌発現ベクターに組み替え、11種類のLEA蛋白質の大量発現に成功した。今後は精製LEAを用いて酵素蛋白質や生体膜の保護活性の解析を進める。また、これら14種類のLEA遺伝子配列をモデル線虫Caenorhabditis elegansに導入し、外来遺伝子による耐性能付与の可能性について検討を行う。
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