2012 Fiscal Year Research-status Report
出芽酵母の全ゲノム網羅的表現型解析に基づく酸化ストレス傷害修復メカニズムの解明
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23510250
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
安藤 聡 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜茶業研究所 野菜病害虫・品質研究領域, 主任研究員 (50414496)
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Keywords | 酸化ストレス |
Research Abstract |
平成23年度に引き続き、遺伝子過剰発現プラスミドライブラリを活用した出芽酵母遺伝子過剰発現株セットを構築するための条件検討等を行った結果、約1600株の過剰発現株を作製し、96穴マイクロプレート20枚で構成される過剰発現株セットを構築することが出来た。本セットを用いて、酸化ストレス負荷条件における生育の比較を行い、酸化ストレス感受性あるいは耐性を示す過剰発現株のスクリーニングについて条件検討を行った。その結果、25 mM過酸化水素による一過的なストレス負荷条件において、スクリーニングが可能であることが分かった。全株をスクリーニングに供した結果、上記のストレス負荷条件において顕著な感受性あるいは耐性を示す過剰発現株を同定した。このような高濃度過酸化水素による一過的なストレス負荷により、酵母細胞は顕著な脂質過酸化を伴いつつ、一定の割合で死に至ることから、この致死率やストレス負荷後の生育に影響を及ぼす過剰発現遺伝子は、酸化ストレス傷害の修復と密接に関連するものと考えられる。 本研究によって、酸化ストレス傷害の修復に関連する遺伝子群の全体像が明らかになるだけでなく、酸化ストレス傷害の修復において液胞関連機能を始めとした耐性関連機能がどのような役割を担っているのか解明されるものと考えられる。また、本研究によって得られる知見は、酵母の実用的ストレスに対する耐性のメカニズム解明に大きく貢献するものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画通り、過剰発現遺伝子ライブラリを活用した出芽酵母過剰発現株セットを構築し、酸化ストレス感受性あるいは耐性を示す過剰発現株のスクリーニングを実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度中に研究代表者が所属研究機関内で異動となり、研究環境が大きく変わったため、研究環境の整備を行う必要が生じている。そのため、交付申請時の計画を一部変更し、下記の通り推進する。 まず、平成24年度に同定した過剰発現株において表現型変化の原因遺伝子を同定し、これまでの結果とあわせて、酸化ストレス耐性において重要な役割を担っている遺伝子を全ゲノム網羅的に明らかにする。同定された遺伝子について、酸化ストレス傷害の修復との関連を詳細に調べるために当初計画した種々の検討項目の内、今後、整備される研究環境において実施可能な項目に絞って検討を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題の推進のため、研究代表者の異動に伴う研究環境変化への対応を目的として、次年度の研究費は交付申請時の計画を一部変更し、人件費を抑えて物品費を拡充する。 なお、次年度使用額92,655円は、研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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Research Products
(7 results)