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2011 Fiscal Year Research-status Report

食品成分のインバース分析法を核とする生理活性物質創製スキームの構築

Research Project

Project/Area Number 23510252
Research InstitutionUtsunomiya University

Principal Investigator

二瓶 賢一  宇都宮大学, 農学部, 准教授 (10307209)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2015-03-31
Keywordsポリフェノールオキシダーゼ / ポリフェノール / 配糖体
Research Abstract

自然界に広く分布するポリフェノールオキシダーゼ(PPO)は,様々なフェノールをキノンへと酸化する反応を触媒する.生成したキノンは,還元剤の働きにより,安定なジフェノールへと変換される.本研究では(1)PPO による酸化反応の解析,(2)天然ポリフェノールのPPO酸化生成物の単離・構造決定および(3)その酸化生成物が天然物であることの検証と生理活性評価を行うことにより,新しい天然生理活性物質を開発することを目的とする.特に,酵素反応過程で生じる生成物の構造予測と基質や生成物の化学合成・構造解析などの手法を核に,天然ポリフェノールのPPO酸化生成物の単離・構造決定およびその酸化生成物が天然物であることの検証の2段階からなるインバース分析法の確立を目指す.(1)PPO による酸化反応の解析 PPOのよる酵素的変換において留意すべき点は,PPOの基質特異性の把握,触媒能力の向上と酵素失活の防止の3つである.PPOの基質特異性を調べたところ,構造中に電子供与性基が導入されたフェノールは,電子吸引性基を持つものよりも酸化されやすいことが分かった.また,アセトニトリル/水の溶媒系でもPPOの酸化反応が進行することを確認した.(2)天然ポリフェノールのPPO酸化生成物の単離・構造決定 構造中に電子供与性基のフェノール骨格を有するエピロドデンドリンを天然のPPO基質として選択し,この化合物の化学合成を行った.その結果,市販のラズベリーケトンを出発物質としてエピロドデンドリンのジアステレオマー混合物を5段階,総収率36%で合成した.また,エピロドデンドリン誘導体およびレゾルシノール誘導体を複数合成し,それらが効果的なPPO阻害剤として作用することを見出した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の研究実施計画において,平成23年度には,(1)PPO による酸化反応の解析の一部であるPPOのポリフェノール基質特異性の把握および触媒効率の向上のために,ポリフェノール類のモデル基質を化学合成し,それらを用いて酵素反応を詳細に解析することで,PPO酸化反応を最適化することを目標とした.モデル基質であるp-ヒドロキシ安息香酸エステルとヒドロキノン誘導体のPPOによる酸化過程を追跡したところ,後者の方が酸化されやすいことが分かった.また,アセトニトリル等の溶媒をPPO反応液に添加しても,触媒活性を失わないことが明らかになった.しかしながら,親水性および親油性の基質を用いた酸化実験は,基質の化学合成に時間がかかり実施できなかった.また触媒効率を向上させるような有機溶媒と水との組み合わせは見つからなかった. ヒドロキノン誘導体のような電子供与性を持つ化合物が,PPOにより酸化されやすいことが分かったので,平成24年度に予定している(2)天然ポリフェノールのPPO酸化生成物の単離・構造決定に取りかかった.文献検索等の結果,健康茶として使われているメグスリノキの成分であるp-アルキルフェノール骨格をもつエピロドデンドリンに着目し,その化学合成を達成した.また,エピロドデンドリン誘導体を化学合成し,PPO阻害剤として働くことを見出した.さらに,効率的な基質であるヒドロキノンの化学変換を行うことで,種々のPPO阻害剤を設計・開発した.

Strategy for Future Research Activity

平成24年度の研究実施計画は,平成23年度に引き続き,(1)PPO による酸化反応の解析の達成のために,酵素失活の防止を目的に研究を行う.特に,(2)天然ポリフェノールのPPO酸化生成物の単離・構造決定の推進によって得られたエピロドデンドリンを基質に用いて,その化合物のPPOによる酸化過程を最適化する.具体的には,還元剤を酵素反応系内に共存させ,分光光度計やHPLCなどの機器分析学的な手法を用いてエピロドデンドリンの効率的な酸化反応の条件を見つけ出す.また,平成25年度の実施予定の(3)PPO酸化生成物が天然物であることの検証と生理活性評価の研究の一環として,エピロドデンドリン酸化体の化学合成を行い,PPOによるエピロドデンドリンからエピロドデンドリン酸化体への変換過程を明らかにする.派生的な内容ではあるが,エピロドデンドリン誘導体のPPO阻害作用についても,種々の誘導体を化学合成・活性評価することにより,さらに研究を行う.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究費は主に,試薬,ガラス器具,プラスチック消耗品およびHPLC・FPLC消耗品などの消耗品類を購入・使用するために計上する.また,天然物および農芸化学関連の学会に出席し,研究成果を発表するための国内旅費と成果発表費も合わせて計上する.

  • Research Products

    (4 results)

All 2012

All Presentation (2 results) Patent(Industrial Property Rights) (2 results)

  • [Presentation] ロドデンドロール配糖体の化学合成と生理活性評価2012

    • Author(s)
      岩舘 丈央,柏倉 裕,二瓶 賢一
    • Organizer
      日本農芸化学会2012年度大会
    • Place of Presentation
      京都女子大学
    • Year and Date
      2012年3月25日
  • [Presentation] 天然ビベンジル構造を基盤としたチロシナーゼ阻害剤の分子設計2012

    • Author(s)
      大貫 沙弥香,二瓶 賢一
    • Organizer
      日本農芸化学会2012年度大会
    • Place of Presentation
      京都女子大学
    • Year and Date
      2012年3月25日
  • [Patent(Industrial Property Rights)] ロドデンドロール誘導体2012

    • Inventor(s)
      岩舘 丈央,柏倉 裕,二瓶 賢一
    • Industrial Property Rights Holder
      宇都宮大学,冨士鋼業株式会社
    • Industrial Property Number
      特許: 2012-047471
    • Filing Date
      2012年03月04日
  • [Patent(Industrial Property Rights)] レゾルシノール誘導体2012

    • Inventor(s)
      二瓶 賢一
    • Industrial Property Rights Holder
      宇都宮大学
    • Industrial Property Number
      特許: 2012-047469
    • Filing Date
      2012年03月04日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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