2013 Fiscal Year Research-status Report
食品成分のインバース分析法を核とする生理活性物質創製スキームの構築
Project/Area Number |
23510252
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
二瓶 賢一 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (10307209)
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Keywords | ポリフェノールオキシダーゼ / ポリフェノール / 配糖体 / 阻害剤 |
Research Abstract |
自然界に広く分布するポリフェノールオキシダーゼ(PPO)は,様々なフェノール類をキノンへと酸化する反応を触媒する.生成したキノンは還元剤の働きにより,安定なジフェノールへと変換される.本研究では,(1)PPOによる酸化反応の解析,(2)天然ポリフェノールのPPOによる酸化生成物の単離・構造決定および(3)その酸化生成物が天然に存在することの検証と生理活性評価を行うことにより,新しい天然生理活性物質を見出すことを目的とする.特に,酵素反応生成物の構造予測と基質や生成物の化学合成・構造決定を核に,天然ポリフェノールのPPO酸化体の単離・構造決定およびその酸化体が天然に存在することの検証の2段階からなる「インバース分析法」の確立を目指す. 昨年度行ったPPOによる酸化反応の解析の結果,メグスリノキに含まれるフェノール成分であるエピロドデンドリンの誘導体が,代表的なPPO阻害剤であるコウジ酸よりも強力な阻害活性を有することを明らかにした.この結果を受けて,複数のエピロドデンドリン配糖体を化学合成し,それらの阻害活性を比較した.その結果,糖の付け根の立体配置がRである誘導体は,Sである誘導体よりも2倍程度強い阻害活性を持つことを明らかにした.また,糖部分にセロビオース構造を有するR型の誘導体は,コウジ酸の約6倍の活性を示すことが分かった.立体構造の差異により,阻害活性が異なる例は,PPO阻害剤としては珍しい.したがって,本研究により開発された新規誘導体群は,強力なPPO阻害剤としてのみならず,PPOのメカニズム解析に有効なバイオツールとしての利用が期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代表的なPPO阻害剤であるコウジ酸よりも強力な阻害活性を有する複数の阻害剤の開発に成功した.また,この阻害剤のエピマー間で,PPO阻害活性に2倍程度の差異があることを明らかにした.さらに本成果を研究論文にまとめて,投稿し受理された.それ以外にも新規フェノール性物質の構造決定・化学合成に関する研究論文を投稿し,受理された.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も引き続き,特にメグスリノキの成分であるロドデンドリンとPPOの関係に着目して,天然ポリフェノールの酸化生成物の単離・構造決定および酸化生成物の生理活性評価と食品成分としての検証に関する研究を行う.
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