2013 Fiscal Year Annual Research Report
低分子化合物を特異的に認識する新機能ペプチドの進化工学的創製
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23510253
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
根本 直人 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60509727)
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Keywords | ペプチドアプタマー / 分子認識 / 架橋構造 / アミノ基認識 / ジスルフィド結合 / 進化工学 / In vitro selection / cDNA display |
Research Abstract |
研究の目的は進化工学的手法を用いて低分子化合物に対し親和性・特異性をもつペプチドを創製することである。通常のペプチドは抗体によってエピトープとして認識されても、何か他の分子を認識する側として作用することは難しいと考えられていた。そこで大きさが30残基程度で複数のジスルフィド結合を有する低分子結合ペプチド(アプタマー)の取得を試みた。当初、低分子としてビオチンを標的分子としたが、その過程でビオチンより小さなアミノ基が認識されることが明らかになった。そこで、アミノ基以外の官能基認識の有無、架橋構造の決定、2次構造の有無等を実験的に明らかにした。その結果、取得したペプチドは4つのシステインを有し、その架橋構造は従来のペプチドには見られない特異な構造を有していることが分かった。興味深いことに環状構造を2つ有するが、アミノ基認識にはそのどちらの環状構造も必要である。従来、主にタンパク質を標的分子としてペプチドアプタマーを取得する際には、一つの環状構造をもつライブラリを用いてin vitro selectionすることが多かった。本研究によって初めてペプチドの分子認識において複数の環状構造を有することが分子認識能を高めることが明らかになったといえる。さらに、特定の架橋構造をもつことがそのペプチドの2次構造形成においても重要な役割をすることがCDによって明らかにされた。以上のことから、従来、ペプチドそのものがタンパク質に比べ小さな分子であることからその分子認識は限定されていると考えられていたが、ペプチドに積極的に架橋構造を導入することで、その分子認識能が拡張できる可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)