2011 Fiscal Year Research-status Report
金属イオン結合およびレドックス制御における亜鉛フィンガータンパク質の構造と機能
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23510266
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
根木 滋 同志社女子大学, 薬学部, 助教 (50378866)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 亜鉛フィンガー / レドックス挙動 / DNA結合 / 転写因子 / レドックスセンサー / 金属置換 / 無細胞系タンパク質発現 / 分子進化実験 |
Research Abstract |
初年度は、金属置換フィンガータンパク質のデザイン戦略およびその合成手法について検討を行った。基本フレームなる天然亜鉛フィンガータンパク質としてショウジョウバエ由来の転写因子GAGAファクターに含まれる亜鉛フィンガードメイ(GAGA Zf)を用いた。GAGA Zfのフィンガー部分である30残基およびDNA結合能を有する最小単位である50残基のペプチドは、一般的なペプチド固相合成法(Fmoc法)を用いて化学合成し、逆相HPLCにより精製し完全なアポ体を得ることに成功した。また、金属配位部位であるCysやHisを変異させたフィンガードメインも作製した。これらのフィンガードメインに対して種々の金属イオン(Zn(II), Co(II), Ni(II), Cu(II), Fe(II), Cu(I)など)との相互作用を検討した。その結果、Fe(II)およびCu(II)に関しては、いずれの場合も明確な配位結合形成および二次構造誘起が認められなかった。一方、Co(II)およびNi(II)においては、野生型においてのみ結合およびZn(II)と場合と同様の二次構造誘起が認められた。さらにITCおよびCDおよびUV滴定によりGAGA ZfとZn(II),Co(II),Ni(II)との結合定数を決定することできた。さらに、金属置換フィンガーのDNA結合能についても検討を行い通常のターゲット配列であるGAGAG配列に対し、Zn(II)およびCo(II)では同程度の、Ni(II)ではやや親和性が低いものの、いずれの場合も結合することが明らかとなった。また、Co(II)およびZn(II)対しては分子進化的手法であるSELEX法を用いて金属置換による配列選択性の許容性についても検討を始めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の部分でも述べたように、23年度の申請時に書いた研究内容についてはほぼ達成できたと考えている。ただ、ファーディスプレイ法を用いた金属フィンガーのデザインについては、実験方法の確立が初年度内には達成できなかった。これについては、引き続き検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の結果に基づき更なる展開として、無細胞系タンパク発現システム(PUREシステム)を用いた金属置換フィンガータンパク質の作製、および金属置換型フィンガータンパク質の機能評価(触媒機能など)を行う。PUREシステムの系では、あらかじめ目的の金属イオンを反応溶液に添加した状態でタンパク発現させ、ダイレクトに金属置換フィンガータンパク質を作製することを考えている。また、金属置換フィンガータンパク質のDNA結合配列探索を、昨年度に引き続きin vitro セレクション法の一つであるSELEX(Systematic Evolution of Ligand by Exponential enrichment)法を用いて行う。また、野生型および金属置換型フィンガーの酸化還元挙動についても検討を始める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究費は、主に上述の研究推進に必要な化学的、分子生物学的な実験試薬ならびにキット類などの消耗品に使用する予定てある。
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