2012 Fiscal Year Research-status Report
金属イオン結合およびレドックス制御における亜鉛フィンガータンパク質の構造と機能
Project/Area Number |
23510266
|
Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
根木 滋 同志社女子大学, 薬学部, 助教 (50378866)
|
Keywords | 亜鉛フィンガー / DNA結合 / シグナル伝達 / レドックスセンサー / 転写因子 / 金属置換 / 細胞移行 / 分子進化実験 |
Research Abstract |
本年度は、ショウジョウバエ由来の転写因子由来のGAGA亜鉛フィンガー(GAGA zf)およびヒト転写因子由来のSp1亜鉛フィンガー(Sp1 zf)を用いて引き続き金属置換およびレドックス挙動について検討を行った。各Zfの亜鉛イオン結合部位であるフィンガードメイン部分は30残基で構成されており、その部分はペプチド固相合成法(Fmoc法)を用いて化学合成し、逆相HPLCにより精製し、完全なアポ体を得ることに成功した。また、今回GAGAについては亜鉛配位部位のヒスチジン残基の部分を非天然のアミノ酸であるぴピリジン環を有するアミノ酸(Ala-Py)に置換してそれらの金属結合についても検討を行った。用いた金属イオンとしては、Zn(II),Co(II),Ni(II),Cu(II),Fe(II)の五種類を用いて行った。その結果、GAGAの野生型ではCu(II),Fe(II)を除く金属イオンで二次構造の誘起が認められた。一方、3位に位置にN原子を有する3ピリジル基(Ala-3Py)においては、Fe(II)のみ二次構造を誘起することを新たに見出した。現在、各種金属イオンとペプチドとの結合定数をITCおよびCD、UV滴定から求めている。 また、GAGAのZn(II),Co(II),Ni(II)については分子進化的手法の一つであるSystematic Evolution of Ligand by Exponential enrichment法(SELEX法)を用いて各金属置換体のDNA結合配列の配列の選択性、許容性について検討を行った。その結果、いずれの金属置換体も最終的にはある特定のDNA配列に収束することが明らかとなった。ただし、その収束速度は各金属イオンによって異なっていた。また、興味深いことに選択されてきた配列がショウジョウバエのゲノム上にある遺伝子配列であることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究業績の部分で述べたように、申請時に書いた大部分の研究内容については達成できていると考えられる。無細胞系のタンパク質発現システムによる金属置換フィンガーの直接合成については未だに成功していないので、引き続き検討を行う。また、最終年度に行う酸化還元反応についても既に検討を始めているが、その部分についてもさらに検討を進める予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究の進捗状況を踏まえて、金属置換フィンガーの構造およびDNA結合機能に関するすべてのデータを完成させて、論文作製に取り組む予定である。無細胞タンパク質発現については新たにいくつかの新たらし系を検討し研究を進めることとする。 さらに、非天然アミノ酸による新たな知見が得られてきているので、これらの点についてもさらに詳細に検討を行う予定である。また、亜鉛フィンガータンパク質のレドックセンサーとのしての機能についても、これまで作製した金属置換フィンガーも用いて検討を進める予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|