2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23510278
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平竹 潤 京都大学, 化学研究所, 教授 (80199075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 文太 京都大学, 化学研究所, 助教 (10544637)
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Keywords | ヒトアスパラギン合成酵素 / 遷移状態アナログ阻害剤 / 急性リンパ性白血病 / 化学療法 / アシル活性化酵素 / アシルアデニル酸中間体 / アデノシンミミック |
Research Abstract |
ヒトアスパラギン合成酵素(hAS) の反応機構および基質認識の機構にもとづき、反応の遷移状態アナログとなる N-sulfamidoyl sulfoximine 類の合成を行った。今年度の研究で、モデリングの結果、hAS の活性中心には AMP の5'-リン酸基の負電荷を認識する特異的な塩基性アミノ酸(Lys449)が存在し、この残基と静電的相互作用する負電荷をもった官能基の存在が阻害剤の高い親和性に必須であることが判明した。そこで、この残基と相互作用する、酸性度の高い NH をもつsulfamido基(5'-リン酸基ミミック)を導入すること、また、薬剤の細胞透過性の障害となるアデノシン部分の構造を、よりドラッグライクな構造に改変することを目的として構造展開を行った。そこで、リボース環の代わりに、エチルないしプロピル基の末端にアデニン環を結合させたカーバメート型 N-acylsulfamido 誘導体を合成した。これらの化合物は、アシル基とsulfamido基にはさまれた酸性度の高いNHを有し、アニオン性の 5'-リン酸基のミミックとして作用する。アッセイの結果、これらの化合物は hAS を時間依存的に阻害する強い阻害活性を示し、その阻害定数 Ki = 42 nM であった。これまでの研究で、AMP部分をそのまま有する N-adenosylsulfoximine が hAS に対する強い阻害活性を示し(Ki = 7.6 nM)、リンパ性白血病細胞に対して、増殖阻害ばかりでなく細胞死を引き起こすことを発見した。このように、hAS が急性リンパ性白血病化学療法の重要な標的タンパク質であることを見いだし、よりドラッグライクなカーバメート型 N-acylsulfamido 誘導体は、きわめて有望なドラッグリードとなることが期待される。
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Research Products
(5 results)