2011 Fiscal Year Research-status Report
立体構造を基盤とした抗生物質アシラーゼ変異体酵素の設計と合成
Project/Area Number |
23510280
|
Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
磯貝 泰弘 富山県立大学, 工学部, 准教授 (00201921)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | 抗生物質 / アシラーゼ / 酵素 / ドッキングシミュレーション / ホモロジーモデリング / 変異体 / 創薬 |
Research Abstract |
βラクタム系抗生物質を基質とする代用的なアシラーゼであるセファロスポリンアシラーゼの(CA)の一連の変異体と二種類の基質分子glutaryl-7-amino cephalosporanic acid(GL-7-ACA)、adipyl-7-aminocephalosporanic acid (AD-7-ACA)について、それぞれの立体構造に基づいたドッキングシミュレーションを行った。CA変異体の立体構造は、野生型CAのX線結晶構造からアミノ酸置換により作成した。変異体モデルの作成法とドッキング計算の方法を変えることにより、複数セットの計算結果を得た。得られた結合エネルギーの計算値を既に報告されているKmの実験値の対数に対してプロットし、理論値と実験値の比較を行った。その結果、置換したアミノ酸残基のみのコンフォーメーションを最適化した変異体モデルとGL-7-ACAを用いた計算値が相関係数0.65で、もっとも良好な実験値との相関を得た。 次に、抗真菌薬として重要なキャンジン系抗生物質の製造に利用されているアクレアシンAアシラーゼ(AAC)について計算を行った。AACは、立体構造が未解明なので、立体構造データベースに登録されている蛋白質のうち最も配列が似ているPseudomonas由来のクオラムセンシング酵素PvdQをテンプレートとして、AACのホモロジーモデリングを行った。上記の計算法とAACモデルを使って、アクレアシンAを含む基質とのドッキング計算を行ったところ、AACはアクレアシンAに対して良好な結合エネルギーを示した。一方、CAはアクレアシンAに対してほとんど結合親和性を示さなかった。これらの計算結果は、これまで報告されている実験結果と一致した。 上記のドッキング計算を応用した変異体実験を行うため、大腸菌を用いてPseudomonas由来CAの発現系を構築した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗生物質アシラーゼの有用変異体を得ることを目的として、酵素の立体構造に基づくモデリングとドッキングの計算法を確立した。さらに、この計算法を応用した変異体実験を行うため、大腸菌を用いてPseudomonas由来酵素の発現系を構築した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果をもとに、アシラーゼ酵素の変異体の設計と合成を行い、酵素活性の詳細な解析を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
変異体酵素遺伝子作成に必要な合成オリゴヌクレオチド、PCR酵素、DNA精製キット、塩基配列の解析、および酵素蛋白質の合成と精製に必要な培地や試薬、液クロカラム、ガラス機器、活性測定に必要な基質化合物や蛍光試薬などの消耗品を主に購入する予定である。
|
Research Products
(6 results)