2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23510281
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
浅井 章良 静岡県立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60381737)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 抗がん剤 |
Research Abstract |
DNAアルキル化剤は、一般的にDNAと共有結合複合体を形成によるDNA複製阻害がその主たるメカニズムと考えられている。本研究ではDNAアルキル化剤の新規メカニズムを解明し、その優れた薬効を裏付けると共に次世代抗がん剤のデザインへ繋げることを目的としている。これまでのアルファスクリーン法を用いた非細胞系での試験の結果、ベンダムスチンは、組換えSTAT3の二量化を最も強力に阻害し、またSTAT3が恒常的に活性化している乳がん細胞MDA-MB-468に対して、比較的強い細胞増殖阻害を示すことを明らかとしてきた。さらに不活性型代謝産物はSTAT3阻害活性を示さなかったことから、ベンダムスチンの細胞増殖阻害活性にはSTAT3阻害が重要であれることが示唆された。一方、STAT3と同様に、ある種の癌細胞においてその恒常的な活性化が報告されているSTAT5への作用を検討したが、ベンダムスチンによる阻害活性は見られなかった。これらの結果から本薬剤がSTAT3選択的な作用を示すことが明かとなった。そこでアルキル化部位を同定する目的で、現在STAT3の二量化において重要なSH2ドメイン及びその近傍に存在するシステインのアラニンに置換体を作製中である。さらに、ベンダムスチン誘導体に関するこれまでの構造活性相関情報から、カルボン酸部位の修飾が可能と判断された。そこでこの部位へのポリエーテルリンカーを介してビオチンを導入することによりビオチンラベル体の合成を完了した。今後の非細胞だけでなく細胞レベルでの解析に利用予定である。一方、他のアルキル化剤としてシスプラチンがSTAT3の二量化を阻害することを新たに見出したことから、現在オランダRadboud大学のグループと共同でシスプラチンの細胞内における詳細なメカニズム解析を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現状では非細胞系での選択的なSTAT3阻害が明らかとされたものの、細胞系での明確なSTAT3阻害が検証できていない。ベンダムスチンは反応性の高いNH-2構造を有するため不安定な薬剤である。よって特に細胞系での解析に関しては薬剤接触時間や溶液調製等の条件検討には十分な時間を割く必要があると考えている。また細胞株の検討も必要と考えられる。薬剤処理した細胞の核抽出液中のSTAT3によるDNA結合活性(ELISA法)や細胞イメージアナライザーを用いたSTAT3の核内移行の解析について条件を検討中である。また細胞系の解析を進めながら、同時に生化学的な解析、即ちSTAT3のシステイン変異体の調製を進めている。また今年度は、前倒しでビオチンラベル化ベンダムスチンをデザイン・合成した。本化合物をツールとして用いることにより、STAT3並びにそれ以外の標的タンパク質の可能性を含めて解析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
薬剤処理した細胞の核抽出液中のSTAT3によるDNA結合活性(ELISA法)や細胞イメージアナライザーを用いたSTAT3の核内移行の解析について条件検討を行い、ベンダムスチンや今回新たに阻害活性が見出されたシスプラチンについて、細胞系でのSTAT3阻害活性を検証する。おそらくこれらの薬剤は共通のシステインをアルキル化していることが推測される。アルキル化部位の同定を目的として、STAT3の二量化において重要なSH2ドメイン及びその近傍に存在する5か所のシステイン(Cys687, Cys712, Cys468, Cys550, Cys542)を選択しアラニン置換体を調製する。これら変異体に対する薬剤の感受性及び結合活性を検討することにより、アルキル化部位を同定予定である。また、既に合成済みのビオチン化ベンダムスチンを解析用ツールとして用いることにより、細胞内STAT3へのこれら薬剤の作用、及びSTAT3以外の標的タンパク質の可能性についても検討を行う。ベンダムスチン同様に臨床で優れた抗腫瘍効果を示しているシスプラチンがSTAT3に直接作用することも新たに見出しており、今後シスプラチンによる作用機序も併せて作用機序解析を進め、新規抗がん剤のデザインと創出に活かしてゆく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本プロジェクトでは、化合物の不安定性により細胞レベルでの解析に遅れが生じていることもあり、本年度は若干の余剰が生じたが、引き続き上記解析に使用予定である。その内容は各種試薬やキット、抗体、細胞培養用の培地、および、ディスポーザブルチューブ、チップ、プレート等の消耗品などが含まれる。
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[Journal Article] Biological and computational evaluation of an oxadiazole derivative (MD77) as a new lead for direct STAT3 inhibitors2012
Author(s)
Daniela Masciocchi, Stefania Villa, Fiorella Meneghetti, Alessandro Pedretti, Daniela Barlocco, Laura Legnani, Lucio Toma, Byoung-Mog Kwon, Shintaro Nakano, Akira Asai, Arianna Gelain
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Journal Title
Med. Chem. Commun
Volume: 3
Pages: 592-599
DOI
Peer Reviewed